第 8 章 まとめに代えて

ご意見から:
質問:地球科学はこんなに広い範囲を扱うのですか? Yes
  まさに、これはわかって欲しいこと

ご意見の中で以下のアンケートを取ってみる
(1) 字が小さいと思う人
(2) 出席を取って欲しかったと思う人

ご要望の中で
理系基礎との重複:聴衆が異なるのである程度以上避けがたい。
寒かった:気が付かずにすみません。むしろ気が付いた時点で言って欲しい。
内容について:天体や気象や地球内部の話を多くして
          気象なら、「大気水圏環境の科学」を聴講してね
          天体なら、来年度の理系教養の「宇宙科学」を聴講してね
字を大きく、濃く:濃さは気をつけたい。大きさは?
最初のうちに、参考書とか、プリントとか教えて:今回は第1回なので許して。

補足等

いくつか最後から2回目に出た質問と答え

Q1 糸魚川静岡構造線の地震の確率は東海地震よりも高い?
A1 東海地震より確率が高いということはない(東海地震は 50 年以内に 80-90 %、
   糸魚川静岡構造線は 100 年以内に 40 % ; ただしこの確率にあまり意味はない)。
   ただし、糸魚川静岡構造線のこの数字は内陸地震としては異例に高いので、
   専門家がかなり要注意と考えていることは確か。

Q2 小さい地震をたくさん起こして大きな災害をなくすことは可能か?
A2 可能だと良いけど、今のところはそのような技術はない。

Q3 江戸時代に起きた地震のマグニチュードはなぜわかるか?
A3 建物の倒壊率や揺れ方の記録から震度を推定し、それらを総合して
   マグニチュードを推定する。

Q4 地震対策について教えて
A4 専門家ではないので、あまりいえないが、とりあえずは何よりも家を丈夫にすること
   建築費を1割くらい増やせば、強度を2倍にできる。

Q5 0.08 Msun 以下の星が褐色矮星になるのはどうしてわかったの?
A5 星の進化の計算をする。星は初め収縮するとともに中心の温度が上がる。
   核融合はある温度以上にならないと起こらない。どこまで温度が上がるかを
   計算して、核融合の臨界温度にならなければ、褐色矮星になる。

時間があればやろうかと思ったがやらなかったことがら

5-3 銀河や天体と太陽系のリズム

Alvarez による隕石衝突説が教えてくれたことの一つは、宇宙現象が地球に影響を与える ことがわかったこと、いわば天変地異の可能性である。これに関していくつか考えてみよう。
(a) our galaxy とマゼラン星雲の会合周期
(b) 太陽系が銀河を1周するのに2億年(速さは 220 km/s)。
  [計算 T = 2 pi ( 2.8 x 9.46 x 10^12 km ) / ( 220 km/s ) = 8 x 10^11 s = 2 x 10^4 yr
   あとから計算やり直し]
(c) 太陽系が銀河の腕を通り過ぎる周期
(d) Milankovich cycle

7-? 地震防災(時間が無ければ省略)

地震災害は建物があるから起こる
  野原で津波の来ないようなところで大地震に遭遇しても何も被害は無いだろう。
    地震による死者は
      建物の崩壊による圧死、火災
      津波
    などが原因
  この点は、風水害や火山災害とは異なる

そこで防災には建物を丈夫にすることが肝心

地震防災では何をしておいたら良いかがまだ十分には理解されていない
  その証拠に、地震が起きるたびに新しい課題が認識される
    兵庫県南部地震では
      高速道路が倒れることがわかった
      新幹線の線路が壊れることがわかった
      震災の帯が地盤と断層形状の影響でできることがわかった
      地域での救助の重要性がわかった

地震防災の難しさ
  確率は低いが、起こったら重大な影響をもたらすものへの対処

  雑談:確率の不思議
    あなたはどういうわけか友達から次のような賭けをもちかけられた。
    あなたは、まずある賭け金を友達に払う。その後、コインを投げ続ける。
    表が出続けたら 2 円、4 円、8 円、…と友達から金をもらえる。
    裏が出た時点でこの賭けは終わりになる。
    問題:最初の賭け金がいくら以下なら、あなたはこの賭けに参加する気になるか?
       [学生に聞いてみる]
    期待値を計算すると 2x(1/2)+4x(1/4)+8x(1/8)+ ... = ∞!
    確率は少ないが、起こったら莫大な金が出てくる問題。

7-? 火山防災(時間が無ければ省略)

火山災害に対するハザード
  考えるべき要素
    (1) 活火山が近くにないか?
          近くにあれば基本的に危険な可能性がある
    (2) 活火山の火山噴出物の上にあるか?
          火山噴出物の上にあれば、それは最近 100 万年間くらい以内に噴出物が
          かぶったことを示す。【火山地質図を見ればわかる】
    (3) 土石流災害は川の下流にまで被害が及ぶことに注意
          この場合は、風水害と同様の危険性
              例:十勝川、御岳、浅間山
    (4) 例外的に、被害が広域に及ぶ場合もある
          例:島原大変、「死都日本」
            この場合は、リスクの予測が困難(ふつうハザードマップにもならない)
  ただし、火山の危険がある場所に家を建てる選択はあると思う。
    benefit  観光地、景勝地、温泉
          (たとえば、草津温泉は火砕流の上にある)
    risk はある程度回避できる
      ある程度噴火の予測ができる場合が多いので(火山によるが)、
      警報がでた途端に逃げるつもりがあれば、死なずにすむ可能性が高い。
      風水害もある程度予測はできるが、風水害は頻度が高いので、いちいち
      逃げてはいられないという点が異なる。