講義補足メモ

last update: 2006/06/12
以下のメモは、講義の準備の下調べの補足的なもので、 受講者が理解する必要のないものである。

2-5 太陽系の形成, 5-3 生命の誕生

NHK スペシャル「地球大進化」第1集 DVD 内容リスト

title/chapter内容
title1本編
chapter1タイトル
chapter2導入部:シリーズ全体の概観
chapter3山崎努:進化カレンダー
chapter4海に覆われた原始惑星(ミニ惑星) →地球型惑星の形成 [出演:小久保英一郎]
chapter5giant impact と月の形成 →火星はミニ惑星の生き残り(荒涼とした星) →地球には海ができたことが生命を育んだ [出演:小久保英一郎]
chapter6Greenland, Isua, 38 億年前の岩石 →生命の痕跡(炭素の粒子) →当時の生命の想像図 [出演:ミニック・ロージング]


3-5 火星

Suppl 3-5-1. 火星の極冠が主に water ice であることについて

火星の極冠が主に water ice であることが判明するまでの観測の歴史 [Timothy N. Titus (2004) Nature, 428, 610-611]

Suppl 3-5-2. 火星の soil について

Albert S. Yen et al. (2005)
An integrated view of the chemistry and mineralogy of martian soils [articles]
Nature, 436 49-54, doi:10.1038/nature03637 (2005, 7 July)

内容のまとめ:
火星の表面を覆う soil の分析。一番表面には bright dust がある。これは全球的に分布するもので、 風でばらまかれていると考えられる。その下に dark soil がある。組成は basaltic で、pyroxene、 plagioclase feldspar, olivine などから成る。dark soil は、Gusev crater (Spirit) にも Meridiani planum (Opportunity) にも分布する。全球的なものかもしれないし、そうではなく 起源となる玄武岩が似ているということかもしれない。soil に olivine があって、2価の鉄が 残っていることから、変質度は限定的なものである。Br が濃くなっている部分があるところから、 液体の水が関与したか、あるいは薄い氷の層があたかも水のように塩を溶かしたのだと考えられる。


5-2 炭素の存在形態

Suppl 5-2-1. 二酸化炭素やメタンの生成エネルギーのデータ源

生成エンタルピー等は理科年表による。
一酸化炭素:C + (1/2) O2 → CO + 110.5 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                                 137.2 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 197.56 J/K/mol
二酸化炭素:C + O2 → CO2 + 393.5 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                            394.4 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 213.6 J/K/mol
メタン:C + 2 H2 → CH4 + 74.85 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                          50.84 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 186.3 J/K/mol
エタン:2 C + 3 H2 → C2H6 + 84.68 kJ/mol (ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                             32.93 kJ/mol (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 229.5 J/K/mol
水:H2 + 1/2 O2 → H2O(l) + 285.83 kJ/mol(ΔH at 10^5Pa, 25℃)
                          + 237.2 kJ/mol  (ΔG at 10^5Pa, 25℃)
                         S0(標準エントロピー) = 69.9 J/K/mol
このことから、
酸素がたくさんある環境では、炭素は二酸化炭素になりやすく、
水素がたくさんある環境では、炭素はメタンになりやすい。
単体は H, O などがあると安定ではない(H2O, CO2 or CH4 を作って、 なお C が余る状況が必要だが普通は起こらない)。
ことがわかる(メタンとエタンとを比べるときは、炭素1個あたりで比べよう)。

講義ノート本文中の反応熱はこれから計算した。


5-3 生命の誕生, 5-4 光合成と酸素の発生

NHK 特集「地球大紀行」第3集「残されていた原始の海」 DVD 内容リスト

title/chapter内容
title1本編
chapter1画像とタイトル
chapter2導入部:酸素のある大気
chapter3オーストラリアのストロマトライト
5-16分:ハメリンプールのストロマトライト
16-22分:ノースポールの世界最古の化石とストロマトライト [世界最古の化石のそばにストロマトライトがあることから、 かなり古くから光合成があったと主張している。 あやしいので講義では使わない。]
chapter4生命誕生の場
22-23分:導入
23-26分:イエローストーン。スルフォロバスなどのバクテリア
26-27分:アルビン号による海底探査。熱水噴出孔の生命
27-30分:細胞状構造をつくる実験
chapter5生命進化のシナリオ
30-32分:生命進化のシナリオの解説
32-36分:グレートスレーブ湖の大量のストロマトライト化石
chapter6BIF の形成
39-47分:ハマースレーの巨大鉄鉱床
47分-:エピローグ


5-5 大量絶滅と生命の進化

NHK 特集「地球大紀行」第7集「恐竜の谷の大異変」 DVD 内容リスト

title/chapter内容
title1本編
chapter1画像とタイトル
chapter2恐竜の世界
2-4分:カナダのバッドランド―恐竜の谷
4-6分:恐竜のいろいろ
chapter36-8分:恐竜絶滅事変の導入
chapter4恐竜の生きていた環境を現在から想像する
8-14分:ガラパゴス諸島のイグアナの世界
14-16分:バッドランド(カナダ)の植物化石から当時が温暖だったことが分かる
16-17分:オーキフェノーキー(アメリカ)の温暖な環境は中生代に似ている
chapter5K/T境界の黒い地層とイリジウム
17-19分:恐竜絶滅説のいろいろ
19-21分:スチーブンス・クリント(デンマーク)の K/T 境界の地層 [ここでは、K/T クレータが未発見ということになっている。 講義の時は Chicxulub クレータの話をする]
21-23分:浦幌町(北海道):日本にも K/T 層がある
23-26分:UC Berkeley におけるイリジウムの発見
26-28分:Ir の説明、Ir が K/T にあることの意味
chapter6隕石衝突による絶滅のシナリオ
28-30分:隕石衝突の説明― 10km の隕石が落ちてきた
30-32分:カラバカ(スペイン)で、玄武岩起源のマイクロテクタイトが見つかったことから、隕石が海に落ちたと考えられる
32-33分:K/T 層の石から火災による煤が見つかる
22-40分:大量絶滅のシナリオのイメージ映像: 火災→粉塵発生→衝突の冬 →水蒸気による超温暖化
chapter7隕石衝突はいつでも起きうる
40-42分:衝突による絶滅のまとめ
42-45分:パロマ山天文台、小惑星監視(Shoemaker 先生登場)
45-46分:隕石が地球をかすめて飛んでいったことが目撃された映像
46-47分:月のクレーターが衝突痕であることについて
47分-:エピローグ


6-5 地球温暖化問題

Suppl 6-5-1. 二酸化炭素以外の温室効果ガス

大気において温室効果を持つガスとして重要なものには、6-2 で述べたように 水蒸気、二酸化炭素(CO2)、オゾンがある。人為起源の 温室効果ガスとしては二酸化炭素(CO2)、 メタン(CH4)、フロン、N2O などが重要である。 水蒸気は温室効果は大きいものの 6-2 で説明したように、人為的には 変えられない。ただし、人為起源の温室効果に応じて変化する。 とくに、二酸化炭素、メタン、フロン等、炭素を含むガスに大きな温室効果がある ことに注意する。温室効果の能力としては、
CO2 : CH4 : N2O : フロン = 1 : 101 : 102 : 104
と言われている(数字は「温室効果の能力」の定義の仕方次第なので、 あくまでも目安)。ただし、CO2 が量が多いので最も重要である。
(注)上の数字のデータ源:
IPCC report 2001 WGI Chap6 Radiative Forcing of Climate Change の Global Warming Potentials。ただし、見るとすぐ分かるようにどの time horizon で定義するかでも数字が異なる。上のはあくまで桁の話。

7-3 断層運動とプレートテクトニクス

Suppl 7-3-1. 中学校理科教材ビデオ「地震と災害」内容

毎日 EVR システム制作の理科教材。災害対策室アーカイブから借用。 地震、津波、火山のしくみと被害の説明。地震研の吉田真吾さん指導のせいか、 地震の部分は良くできている。津波、火山は、それぞれ岩手県田老町、 伊豆大島三原山での過去の例のインタビュー中心で、教養講義に使うには今一つ。

時間内容
0:00-2:00根尾谷断層館
2:00-2:30濃尾地震
2:30-3:00タイトルとイントロ
3:00-7:30プレートテクトニクスと地震
7:30-9:00震度と地面の揺れ方
9:00-12:00P 波と S 波
12:00-15:40津波(岩手県田老町の例)
15:40-19:00火山(伊豆大島の例)
19:00-20:00エピローグ


7-5 日本の内陸地震と活断層

Suppl 7-5-1. 日本の内陸地震のマグニチュード

日本の内陸地震では気象庁マグニチュードは大きめの値を出す傾向にある。

年月日地震名MJMW地表断層の長さ(km)
1891.10.28濃尾8.07.480
1927.03.27北丹後7.37.030
1930.11.26北伊豆7.36.920
1995.01.17兵庫県南部7.26.910
出典:
翠川三郎、三浦弘之「内陸地震による地表での断層変位分布」 構造工学論文集, 50B (2004 年 3 月)


7-6 地震防災

Suppl 7-6-1. 東海テレビ「巨大地震!これだけの危険 東海地震被害予測」内容

ビデオ:東海テレビ (2006/01/15) 巨大地震!これだけの危険 東海地震被害予測
名大工学部の福和先生出演:福和先生のおかげで良い番組になっている

時間内容内容内訳
0:00-4:00はじめに
4:00-22:00建物倒壊 4:00-11:00 木造家屋倒壊実験+α
11:00-14:00 鉄筋建の場合
14:00-22:00 福和先生の解説
24:30-34:30火災
36:30-50:30液状化
50:30-70:40津波 50:30-54:30 スマトラ地震津波(現在の映像と当時の映像)
56:00-58:30 東南海地震のときの津波
58:30-63:00 津波の実験と解説
65:00-70:40 福和先生の解説
70:40-83:00最新の耐震建築技術
85:00-おわりに