(a) 「役に立つ」学問の分類 測地学 地球上の位置を測ることは、われわれが移動したり 人工物(人工衛星など)を移動させたりするのに必須 物理探査学、鉱床学 地下の有用な物質を探る手段 災害科学 地震災害、気象災害、火山災害の背景の現象の本質を探る 地球環境学 われわれが生活している空間の物理化学条件を知る (b) 「手法」による分類 地球物理学 物理学の応用 地球化学 化学の応用 地球生物学(古生物学) 生物学の応用 地質学 野外における地層や岩石の観察に基づく学問 etc (c) 私の専門の地球物理学の中では、研究対象によって分類すると 超高層物理学、宇宙空間物理学 超高層大気から磁気圏などの研究 気象学、海洋学 大気圏と海洋の研究 地球惑星内部物理学 地球と惑星の内部ダイナミクス(私の専門) 地震学 地震の研究 etc
火星は半径が 3400 km、ということは地球の半分くらい(地球のコアくらい)。 体積は地球の 1/7 くらいで、質量は地球の 1/10 程度である。 そこで、2-5 のビデオの言い方では、ミニ惑星1個分くらいということになる。
NASA ホームページに行くと たくさん写真や解説が見られるので、楽しんでください。
探査の歴史 ( NASA 火星探査ホームページによる) [以下、細かすぎるので、適当に端折る]
1964 | Mariner 4 |
1969 | Mariner 6, 7 |
1971 | Mariner 9 |
1975 | Viking 1, 2 洪水地形 (Outflow Channel) や河川地形 (Valley Network) が 南半球(高地)に広くあることがわかった |
1996 | Mars Pathfinder -- Lander and Rover (Sojourner:逗留者) |
1996 | Mars Global Surveyor -- Mars Orbiter 観測中 河川地形は比較的新しいように見えた |
2001 | 2001 Mars Odyssey -- Mars Orbiter 観測中 ガンマ線、中性子の観測から、今でも地下に大量に氷が存在することを発見 |
2003 | Mars Express (ESA) [JPL/NASA page, ESA page] -- Orbiter and Lander 観測中 着陸機は失敗。可視光・赤外分光計により、水の氷が存在することを確認。迫力あるステレオ画像が撮影されている |
2003 | Spirit, Opportunity -- Mars Rover 観測中 |
2005 | Mars Reconnaissance Orbiter -- Mars Orbiter 現在、火星に向って飛行中 これまでより高い解像度の画像が得られるはず |
これらの探査から水についてわかっていたこと
Spirit | 2004/01/04 Gusev Crater 着陸 |
Opportunity | 2004/01/25 Meridiani Planum(メリディアニ平原)着陸 |
表面を覆う soil については 補足ノート参照
写真集
ここで見てほしいことは、地学的研究の進め方にある。 細かい事実は将来どんどん書き換えられるので、あまり重要ではない。 ポイントは、実験ができない科学を実証的にどう進めてゆくか、にある。
ニュースで報じられている通り、 昨年 2005 年 11 月に小惑星イトカワに着陸した。 いろいろ失敗した部分もあるが、成功した部分もある。 とくにエンジンの故障があり、地球に無事帰り着けるかどうかが問題だが、 2010 年の帰還をめざしている。成功を祈りたい。技術的には 新しいことにいろいろ挑戦しているし、これまでの日本の惑星探査の遅れも 考えると、失敗した部分もあるものの、全体としては大成功といえるのでは ないだろうか。先週の学会で聴いてきたことも含めて、科学的な背景を説明したい。
「はやぶさ」の最大の目的は「サンプルリターン」であった。これは、 地球外の物質を人手に頼らず持ってこようとする世界初の試みであった。 これ自体は、あまりうまく行っていない。が、イトカワのかけらを拾っている 可能性はまだ少し残っているので、回収をめざしている。
それはそれとして、ここでは、なぜそういうことをしたいのか、ということを 説明したい。まず、隕石、小惑星、彗星とはそれぞれ何かを説明しておこう (学生に聞いてみる)。太陽系にある小天体(惑星より小さくて、衛星や環で ないもの)が小惑星や彗星で、それが地球に落ちてきたら隕石と呼ばれる。
おおざっぱに言って、太陽系にある固体は「岩石」と「氷」である。 小惑星は「岩石」で、彗星は「岩石」+「氷」であると言って良い。 太陽系の形成の話から推測できる通り、小惑星帯よりも内側で出来ると 小惑星に、木星よりも外側で出来ると彗星になると考えられる。 彗星も、太陽に何度か近づいて氷成分が蒸発してしまうと小惑星になる。 こういったものが落ちてくると隕石になる。ただし、氷は落ちてくると 蒸発してなくなるので、落ちてきたものは「岩石」でしかありえない。
さて、だんだん話が細かくなってくるが、隕石のさらに細かい分類を 知っておかないと、イトカワ探査の意義が分からない。隕石は大きく分けて 2種類ある。元の小惑星が、いったん融けて地球と同様のコアとマントルに 分かれたものと、融けていないものである。
さて、そのコンドライトは、さらに3種類に分かれる。その分類の基準は Fe の酸化状態である。Fe は、たとえば Mg ほど酸化されやすくもなく、 Au ほど酸化されにくくもない。ちょうど微妙で、水素が多い状況(還元的環境)では Fe (金属) とか FeS になる。一方、酸素が多いと FeO, Fe2O3 などの酸化物になる(石の中に入る)。そこで、Fe が Fe or FeS になっているか 酸化鉄になっているかで、隕石が分類できる。
一方で、小惑星は、色(正しくはスペクトル)によって分類されている。 これは細かい分類があっていろいろ面倒なのだが、大きく言って重要なのは S 型と C 型である。C 型は黒っぽくて小惑星の中で最も多い。小惑星帯の 外側に多い。C コンドライトに対応すると考えられている。 これに対し S 型は赤っぽくて小惑星帯の内側に多い。数からすると O コンドライトであってほしいのだが、色が少し違う。これが、 なぜかというのが問題になっていた。それを解明するのが「はやぶさ」の 科学的には最も大きな目的で、結論から言えば、やっぱり S 型小惑星は O コンドライトに対応すると考えて良いという方向に 向かいつつある。
主目的のサンプルリターンができたかどうかは 2010 年にならないと わからないが、その他にも、カメラ、レーザー高度計、蛍光X線分光器、 近赤外線分光器を搭載しており、これらはおおむねうまくデータを送ってきている。 それによって、今説明した謎が解かれつつある。 とくに、蛍光X線と近赤外線で、ある程度元素や成分がわかる。 それによれば、イトカワは O コンドライト的であることがわかる。 ただ、それだけでは観測上の制約が大きくて決定的なことが言えない。 小惑星のかけらでも実際に回収できれば本当に確かめられるであろう。
一方で、室内実験により、石を宇宙環境においておくと赤っぽくなる ことがわかってきており(宇宙風化)、変色してくる原因も解明されている。
参考書:丸山茂徳「46億年 地球は何をしてきたか?」(地球を丸ごと考える2 岩波書店)旧来の地質時代区分は、硬い骨格を持った生命の誕生と、 引き続く何度かの絶滅事件に基づいている。これは、45億年の歴史を調べようという 立場からすると、余りにも生物に偏っている。実は、生物の歴史としても偏っている。 現在の生物で最も繁栄しているのは、バクテリアである。人間の体には バクテリアがたくさんいる。極端環境にも地底にもいる。 ほんとうは、バクテリアの歴史こそが生命の歴史であり、 骨のある生物などごく一部にすぎない。
そこで、もう少し別の観点からの時代区分を考えるという試みが、 私の指導教官だった熊澤さんとか、現東工大の丸山さんによって なされた(どちらも名大ゆかりの人)。まだ世界では市民権を得ていないが、 地球の45億年の歴史を語るのに便利なので、これを使って語る。
[図:地球史7大事件の図(熊澤図と丸山の造山帯、氷河期の図)]
地球史には歴史を画する7つの大きな事件があったととりあえず設定する。
これを手がかりに歴史を見てゆくという試みだと思って欲しい。
事件で歴史を語るというのも画期的。というのは、漸進説とはっきりおさらばしているからだ。
さて、これに沿って地球の歴史を見てゆこう。
[図:第1事件]
まず、第1事件。これは地球ができた、という事件。これは第2章で概要を話した。
地球の形はだいたいもうここで出来上がった。
[図:第2事件] 次は、第2事件。現在残っている最古の石がだいたいこの時代のものです。最古の石は だんだん古くなってはいるのだが、ある程度の大きさの岩体が残っているのがこのへんが 最古だ。
まず、それより古い岩体がないということは、それより古い時代は隕石などの衝突が激しく、 なかなか地層が残らなかったというふうに考えらる。
それから、38 億年の岩体を良く見ると、現在と余り変わらないプレートテクトニクスが すでにあったのであろうということも分かる。40 億年前の石も、花崗岩という墓石に 使うような石で、これもおそらくプレートテクトニクスがないとできない。そこで、 第2事件のあたりがプレートテクトニクスの始まりだろう。ということは、当時から すでに海があってマントル対流があって、それとともに地表も水平方向に移動していた、 ということになる。そういうわけで、第2事件は地球形成期の大騒ぎが一段落して、 地下の活動が現在とだいたい似たような感じになった時期だと考えられる。
参考:Q&A「38 億年前の岩石に見られるプレートテクトニクスの証拠とは何か?」
それは、付加体と呼ばれるものだ。
[図:付加体]
プレートテクトニクスで、沈み込むプレートを考える。沈み込むプレートの上には
海底で溜まったもの(生物の殻とか泥とか)が溜まっている。これが沈み込むときに
鉋(かんな)で削るように削られて(あるいは、刺身を削って並べたようになって)、
対岸の大陸側プレートにくっつくことがある。これを「付加体」という。
日本列島のとくに西南日本の骨組みはこれで出来ている。
前回、犬山の地層を紹介したが、それは実はそういうものの一部。それが、深海底で
たまったものが地表で見られている理由。そういう刺身を並べたような構造が
38 億年前の岩石にも見られている。
参考書:平朝彦「日本列島の形成」(岩波書店)[Q&A 終り]
生命が生まれたのもおそらくこのころだ。もう少し前からいたのかもしれない。 ひとつの証拠とされているのが、炭素の同位体 (陽子数が同じで、中性子数が異なる原子核)の割合だ。 炭素には 12C と 13C という同位体がある。 生き物が作る炭素化合物は、無機物よりも 13C が少ない。すなわち 軽い同位体が多い。そこで、軽い炭素同位体が多い炭素がみつかると、生物の証拠だと 考える。ただし、無機的にできる可能性もあるので、決定的ではない。でも、 たぶんすでにいたんじゃないか、と思っている人が多い。生命は地球の非常に初期に 生まれた、というわけだ。 また、光合成の起源も最近の丸山さんの見解だと 37 億年頃でかなり古い。
そこで生命の起源について考えてみよう。生命がどこで生まれたかということに関しては 現在いろいろな考え方があるのだが、最も有力な考え方は、深海底の温泉、 つまり海底熱水活動域、にあったのではないかというものだ。 まず、生命を構成する元素組成が海の組成と似通っているということから、 生命は海で生まれたということが一番自然だ。 熱水が起源であるとする根拠は2つある。 (1) 最近の分子進化学の結果からすると、始原的生物は超好熱菌、 つまりすごーく熱いところに住む菌であることがかなり確からしい。 そういう熱い環境というのは、海の底の温泉だ。 (2) 最古に近い生命の化石とみられる 35 億年前のものがあった場所が、 海底で火山活動が起こっているような場所であることがわかってきた。
[DVD : archaean park]
現在でも海底にそのような温泉がある場所がある。たとえばこの DVD の場所だ。
そういう研究に私もちょっとかかわっている。そういう場所では現在も奇妙な生き物が
たくさんいる。そういう生き物で目に見えるようなものはもちろんかなり進化した生物で、
原始の生物とはかけはなれたものだが、しかし、こういう場所やこういうところに住む菌を
調べると、最古の生命についての情報が得られるかもしれない。そういうことでたとえば
日本でも現在アーキアン・パーク計画という共同研究が進んでいて、これはその宣伝 DVD だ。
もちろん原始の熱水系はこんなににぎやかではなくて、菌だけの世界だ。そうすると、
変な汚らしいけばけばしい色がついた温泉の様子の方がむしろ近い。
[図:第3事件]
第3事件と第4事件は、非常に激しい火山活動が起こった時代だ。その証拠は、
ジルコンという火山活動のときにできて、しかも安定な鉱物の年代がそこに
集中しているということだ。それから、地質学的にみて古い造山帯の年代も
そこに集中する。これの一つの解釈は、マントル対流が上と下の2層に分かれていた
対流が1層になったということだ。前には言わなかったけれど、マントルは詳しく見ると
2層に分かれているみたいで、それをはさんで対流が起こったり起こらなかったりする、
ということがわかっている。そのモードが変わった、ということがあったのかもしれない。
[以下詳しすぎるかもしれず、時間がなければ省く]
そういうことが起こるという理由はいくつか考えられるのだが、
そのうちの一つを話す。これは東大の小河さんの考え方だ。マントルは初めは暖かくて
火山活動が盛んだった。火山活動が起こると石が融けて重い石と軽い石ができる。
重い石は沈んで軽い石は浮くということで、マントルは2つの層に分かれる。
その層の中でそれぞれ対流が起こります。だんだん地球が冷えてくると、火山活動で
重い石と軽い石ができるという作用よりも、重い石と軽い石がかき混ぜられるという
作用が大きくなる。そうすると、対流はマントル全体で起こるようになる。
ほかにもいろいろなことが考えられるのだが、マントルの中で起こっている大きな変化が
地表にも大きな影響をおよぼす。逆に、地表で現在考えられないような大事件が起こると
いうことは、マントル対流の大きな変化のせいではないかと想像するということでもある。
[以上2層対流問題]
第3事件のあたりでは、生物界でも重要な事件が起こった。それは、光合成が非常にさかんに なったことだ。ストロマトライトと呼ばれる化石が多くなってきていて、これはシアノバクテリア という光合成生物が作ったと信じられている。そのことによって、海の中の酸素が増えた。 海の中の酸素は海の中の鉄イオンを酸化して酸化鉄を作る。そのようにしてできたこの時代の 酸化鉄の量は膨大で、現在私たちが使っている鉄の原料の鉄鉱石はほとんどその時代に できたものだ。そのようにこの時代のことはわれわれの生活にも関わっている。
次は、第4事件と行くわけだが、実は第3事件と第4事件の間にも時期はあまりはっきりしないが、2つ大きなことが起こっている。
[図:第4事件]
第4事件は、火山活動がやっぱり激しかったのだが、とくに重要なのは、このころ最初の
超大陸ができた、ということだ。超大陸というのは、世界中の大陸の大部分が1箇所に
集まった状態だ。超大陸は、地球の歴史の上で何回かできたことがわかっているが、
これが一番最初である。それ以前の大陸は、現在よりもサイズが小さい。これも、
マントル対流の2層から1層への変化ということと関連しているのかもしれない。
もうひとつ大事なのは、たぶん 20 億年前の前後あたりで大気中の酸素濃度が増えた、 ということだ。海の中で鉄を酸化し尽くして酸素があふれてきた。 酸素が大気中にでてきて、ミトコンドリアが酸素呼吸するようになって、 真核生物がでてきたんではないか、という考え方もある。 この話を聞くと、酸素が出てきて生物に住み良い環境ができたと思うかもしれないが 事実はおそらくその逆。これは地球史最大の 環境汚染だった可能性が高い。なぜか? 酸素は、ものを燃やすほどに反応性の高い物質だから、大気中の酸素は、生物にとっては もともとは猛毒だった。人間にとって酸素は必須ですからそうは思えないかもしれないが、 酸素は基本的には毒で、呼吸する生物はそれを無毒化する装置を備えている。 ミトコンドリアはさらに酸素を利用するというところまでいった。このように、 このあたりの時代は、生物界にとっても現在のような生物が生まれる大きなステップに なっている。
[図:第5事件(丸山・磯崎 図1.8)]
第5事件はたぶん単一の事件ではなくて、8 億年から 5 億年前くらいにかけての
一連の事件だと考えるのが良い。これは、古生代が始まるあたりで、いくつかの大きな事件が
起きている。まず、8億年から6億年前に極端な寒冷化とそれに引き続いて極端な温暖化が
起きたということが2回あったと言われている。寒いときは、いわゆる全球凍結
(スノーボールアース)と呼ばれている現象で、地球のほとんど全体が凍り付いてしまった。
名前は「スターチアン氷河期」と「ヴァランガー氷河期」というふうに付けられている。
これは、NHK スペシャル「地球大進化」を見た人は先月見たはずだ。詳しいことは、
時間があれば次の章でやる。いったん地球が凍ると、二酸化炭素が大気にたまるようになって、
あるとき突然氷が融け初めその次には気温60度とかいうような極端な温暖化が起きたと
言われている。そういう激変期だ。
それから、この時期から海水の量が減り始めたのではないかという説も東工大の丸山さんが 出している。
そういう激変が起こると、生き物なんか死んでしまいそうな気もするのだが、 そうでもなくて、6億年くらい前から結構大型の生物がでてくるようになった。 5億8千万年くらい前にはエディアカラ生物群と呼ばれるひらべったくてブヨブヨしたような 生物が出てきた。さらに5億4千万年くらい前になると堅い殻を持ったような生物が 一気に出現した。これが古生代の始まりで、カンブリア紀の大爆発と呼ばれる。
参考書:スティーブン・グールド「ワンダフル・ライフ」(ハヤカワ文庫)
[図:第6事件]
前に話したように、第6事件はそうやって繁栄した生物が今度は一気に絶滅するという
大事件が起こった。個体数 99 % が死んだかもしれない。いまでは考えられないくらいに
地球上から生物が一掃されたことになる。海底が酸欠状態になったという話をした。
こんなことが起こった理由として、東大の磯崎さんは「プルームの冬」という考えを
出している。当時、地球上の大陸は1ヵ所に集まっていてパンゲアという超大陸が
できていた。大きい大陸ができるとそれは地球の中の熱に対しては断熱材の役割を
するから、その下が熱くなってくる。やがて、激しい火山活動が起こるようになる。
そうすると噴出物が太陽光を遮って冬のようになるだろう。それを「核の冬」をもじって
「プルームの冬」と称したわけだ。
さて、第7事件は、地球の上のヒトという生物が科学などということをして、 自分とは何か、地球とは何かなどということを問い始める。これも、哲学風に言えば、 地球が地球自身を問うようになった、ということになるだろう。それは、 大事件ではないだろうか?
例:何で陸上植物は緑色のものしかないのか?緑色植物は緑色を利用しないので、 最適を考えると、緑色を利用する植物がいても良い。海藻にはそういうのもある。 でも、なぜか陸上植物にはない。これも歴史的な偶然だろう。生物の世界は 最適化などされていない。[この段落、伊藤繁先生の講義より]
以下、考えられるリズムの雑然としたメモ
木材は昔からエネルギー源として使われた。 [Cf. 文明の盛衰と木材の過剰伐採]
現在言われているバイオマスも木材エネルギー。昔とは何が違うのか?
北欧の取り組み
防災に関連して、よく地震予知が槍玉に上がるが、 防災関係の予算は以下のように使われていることには注意しておく
防災関係予算の内訳 [H17 防災白書による]
種類 | 内容 | 平成 13 年度 | 平成 15 年度 |
---|---|---|---|
国土保全 | 河川改修、砂防ダムなど | 56% (2.2 兆円) | 51% (1.6 兆円) |
防災 | 安全な街づくり | 27% (1.1 兆円) | 26% (8000 億円) |
災害復旧 | 16% (6000 億円) | 22% (7000 億円) | |
科学研究 | 地震予知を含む | 1% (500 億円) | 1% (400 億円) |
土建国家の面目躍如で、国土保全に最も大きな予算が付いている。
数字にはあまり意味はない(防災セミナー:鈴木講演)。 とはいえ、全国規模で防災対策を決めるときの指針にはなる。 全国規模での判断の参考資料としては良いが、個々の地域の問題としては 意味がない。(防災セミナー:藤原講演)
地形図や土地利用図を見よう。
国土交通省 土地・水資源局 国土調査課 http://tochi.mlit.go.jp/tockok/index.htm [そこから取った図 223001.jpg 愛知県土地分類図 2312L.jpg 名古屋北部地形分類図 2312G.jpg 名古屋北部表層地質図 2311L.jpg 名古屋南部地形分類図 2311G.jpg 名古屋南部表層地質図 523004.jpg 愛知県災害履歴図] 名古屋付近は、東海豪雨のおかげで国土地理院ホームページに電子形式で地形分類図がある http://www1.gsi.go.jp/geowww/nagoya/nagoya_landcondition.html [そこから取った図 hanrei_1.jpg 凡例 nagoyananbuNE1.jpg 名大周辺 nagoyahokubuSE4.jpg 名古屋城周辺 名古屋城は台地の端 旧市街地は台地に作られた nagoyahokubuSW2.jpg 新川・五条川・庄内川合流点付近(東海豪雨) 自然堤防:昔は宅地 後背湿地:昔は田んぼ nagoyananbuNW4.jpg 日光川河口付近:干拓地]
地形図や土地利用図を見るときのポイントには以下のような点がある。
ハザードマップ:国立国語研究所の案(2004/06/29 のニュース)では、 「災害予測地図」「防災地図」という日本語を充てる。
ハザードマップ、活断層図等は、 阪神大震災(1995)、北海道南西沖地震(1993:奥尻で大被害)、雲仙噴火(1990)など をきっかけにして一般化してきた。 それ以前は、土地の値段に影響する、観光客が減る等の理由で作られてこなかった。 作ろうとするだけで地元から猛反発を受けた。今や意識が変わった。 そんなことを言っていられない。 [情報源:防災セミナー(鈴木、藤原講演)]
ハザードマップを活用しよう。たとえば、自分で住まいを決めるとき、 都市計画を立てるとき。
ハザードマップがないときも、ある程度の知識が自分でだいたいわかる。そこで 自分でどういう危険があるか判断しよう。逆に、すでにあるハザードマップを 鵜呑みにしない必要もある。理由
とはいえ、火山の危険がある場所に家を建てる選択はあると思う。 そういう場所は、観光地だったり、景勝地だったり、温泉だったりという benefit がある(たとえば、草津温泉は火砕流の上にある)。一方で、 risk はある程度回避できる。というのも、ある程度噴火の予測ができる場合が 多いので(火山によるが)、警報がでた途端に逃げるつもりがあれば、 死なずにすむ可能性が高いからである。ただし、その場合でももちろん財産は 失われる。その得失をどう考えるかである。 (Cf. 風水害もある程度予測はできるが、風水害は頻度が高いので、いちいち 逃げてはいられないという点が異なる。)