太陽系生成のプロセスについてのレポート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


                      農学部応用生物科学科1年

                          090450310 小川祐樹

 

 

 

 

 

 

 

<はじめに>

今回、太陽系生成についての本を読んでみて、今まで僕が知っていたものよりも、遥かに複雑な生成のプロセスをたどって太陽系が生成されることが分かりました。これから、太陽系生成の過程についてまとめてみようと思います。

 

 

<太陽系の特徴>

@太陽系は、太陽、そして9つの惑星、水星、金星、

地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、 およびそれぞれの惑星の計61個の衛星、多数の小天体(彗星と小惑星)、そして惑星間物質で構成されている。

 

[惑星の分類]

地球型惑星   内側の領域(太陽から2天文単位以内)に存在し、岩石を主成分とする外層部と鉄の中心核という構造を持つ。

        例:水星・金星・地球・火星

巨大ガス惑星  太陽から5〜10天文単位の領域に存在し、地球質量の10倍程度

        の質量の固体(氷や岩石)でできた中心核の周りに、地球質量の80300倍の質量の水素・ヘリウムガスをまとった構造を持つ。

        例:木星・土星

巨大固体惑星  太陽系外縁部に存在し、地球質量の10倍程度の質量の固体中心核の周りに、地球質量の数倍の水素・ヘリウムガスをまとった構造を持つ。

        例:天王星・海王星

 

 

 

 

 

 

 
 惑星は、その内部構造によって、種類別に分けることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※冥王星は調査・観測が不十分なため、まだよく分かっていない。

 

A惑星の固体成分の質量を足し合わせると、太陽質量の1万分の1程度になる。

 

Bガス成分もいれた惑星の総質量は太陽の1000分の1程度になる。しかし、惑星の軌道運動の角運動量(太陽中心からの距離×公転の速さ×惑星質量)は太陽の自転の角運動量(太陽の自転軸からの距離×自転の速さ×密度の積分値)の約200倍ある。

 

<太陽系形成論の歴史>

現在の太陽系形成論の主流は「標準モデル」だが、このモデルに至るまでに様々な説が議論されてきた。

 

[18世紀]

カント・ラプラスの説

 
 

 

 

 

 


 

→吹き出たもの(ガス)が吹き出させたもの(太陽)よりも速く回れるはずがない!

 

 

 


[20世紀前半]

 

 

 

 

 

 

 


 →それでもまだ、惑星の公転運動の加速には足りない。

 

 

 


[1960年代]

 

 

 

 

 

 

 

 


[1970年代]

京都大学の林忠四郎や中沢清らが、サフロノフの説を解析し、そこに生まれるべき惑         星を議論し、太陽系形成のシナリオを作り出した。

→「京都モデル」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

 

 

 


 →星雲の成分含有率と、惑星のそれとが大きく違う!

 

 

 


[1980年代]

京都モデルとサフロノフのモデルが「標準モデル」と呼ばれるようになる。

 

 

 

 


[1980〜1990年代]

ハッブル宇宙望遠鏡などの高性能な望遠鏡が次々と開発され、星が形成される領域(銀河の星間雲でも密度が高く、たくさん星が生まれている部分)の観測が急速に進む。

 

 

 

 


標準モデルで提唱された円盤が、生まれて1000万年以下の若い星の周りに、50%以上の確立で存在することが確認される。さらに、円盤の質量も標準モデルで仮定された質量とほぼ一致することが判明する。

 

 

 

 

次に、標準モデルにおける太陽系形成の過程をみてみる。

 

<太陽系形成のプロセス>

第一幕:星くずから微惑星へ

太陽の重力と円盤ガスのガス抵抗を受けながら原始太陽系円盤中を回っているダストが、太陽重力によって引かれていく。

※ダスト…太陽などの恒星の中で核融合によって合成されて、恒星の爆発とともに宇宙空間にばらまかれたもの。主に鉄や岩石の成分からできている。

 

 


ダストが原始太陽の周りを回る速度と、ガスの速度の違いによって、ダストがガスから抵抗を受けて、公転速度が減速する。

 

 

円盤中心に落ちていく途中で、ダストどうしが衝突・合体して大きくなり、「ダスト粒子」と呼ばれるものに成長する。

 

 

このあと、ダスト粒子はさらに大きく成長して「微惑星」になるが、その形成過程には2通りの考え方があり、今も議論が続いている。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 第二幕:微惑星の暴走的成長

お互いの重力によって軌道を乱し合う(重力散乱)

 

太陽のまわりをほぼ同一平面上

でほぼ円を描いて回る微惑星

 

 
          

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


1980年代後半になって、微惑星の成長が暴走的成長であることが、コンピュータシミュレーションによって分かった。

 

 

 第三幕:原始惑星の寡占的成長

少し離れた場所で、遅れて暴走的成長を始めた他の原始惑星が、同じような大きさに成長してくる。

 

 

 

 

 

振り回されて暴れている微惑星は捕らえにくいため、原始惑星の成長がだんだんと遅くなる。

 

周囲の微惑星を自身の重力散乱で振り回す

 

大きく成長した原始惑星

 
 

 

 

 

 

 

 

 

第四幕の一:原始惑星から地球型惑星へ

議論中

 

ある程度大きくなった原始惑星が、さらに他の原始惑星と衝突して、地球サイズまで大きくなる?

 
 

 

 

 

 

 第四幕の二:原始惑星から木星型惑星へ

太陽から3天文単位以上離れたところでは温度が低く、氷ができる。

 

 


氷と岩石によって、より大きな原始惑星ができる。

                    

原始太陽系円盤からガスを捕獲していく。

 

 


惑星+取り込んだガスの重力によって、さらにガスを取り込んでいく

 

 


巨大ガス惑星(木星型惑星)の形成

 

<さいごに>

今回、この本を読んでみて、自分が今まで知っていたよりもはるかに複雑な過程で太陽系が形成されたことが分かり、とても驚きました。なので、この本に載っていた地球や月、系外惑星のことにはあえてふれずに、太陽系だけの生成過程についてまとめてみました。これだけのことが分かっても、まだよく分かっていないことが多くあるそうです。僕たちの母なる地球、そして太陽がこの宇宙に誕生したプロセスが完全に分かれば、僕たちはさらなる知的好奇心を得ることができるでしょう。そんな日が早く来ればいいな、と思いました。

 

 

<参考>

 「一億個の地球」 井田茂・小久保英一郎 著 岩波書店

  http://www.cgh.ed.jp/TNPJP/nineplanets/japanese.html