「地球惑星物理学基礎II熱力学」各回の内容(2009年度)


以下、教科書1は岡部拓也「熱力学の基礎」(丸善)、 教科書2は佐々真一「熱力学入門」(共立出版)を指す。 Chapter 2 から Chapter 4 は教科書1に沿って Chapter 5 から Chapter 9 は教科書2に沿って行う。

内容教科書1で対応する節 教科書2で対応する節備考
0講義の目標と講義の進め方について(シラバス)110/02
Chapter 1Introduction -- 熱力学の重要性地球科学者向けの Introduction
1-1熱力学のはじまり110/02
1-2地球科学における熱力学の重要性110/02
1-3熱力学の構造110/02
Chapter 2状態方程式
2-1系:1成分の平衡系の熱力学が扱う対象110/022.11.4
2-2熱平衡状態110/022.42.1
2-3状態方程式110/02
2-3-1状態方程式1,210/02,092.12.2.1
2-3-2状態方程式に登場する変数210/092.1,2.22.1.1,2.2.1
2-3-3重力による圧力210/092.1
2-4気体の状態方程式210/09
2-4-1理想気体の状態方程式210/092.22.2.1
2-4-2van der Waals の状態方程式210/092.2演習問題 2.1
2-5密度310/162.32.2等温大気のスケールハイト 8 km
Chapter 3偏微分の使い方
3-1偏微分の定義310/163.1A.1
3-2関数の展開310/163.1A.2
3-3偏微分の関係式3,410/16,233.1A.3各種偏微分公式の導出
3-4完全微分410/233.2偏微分が与えられたとき、線積分で元の関数を求める
Chapter 4熱膨張率と等温圧縮率
4-1熱膨張率510/304.1
4-2等温圧縮率510/304.2
4-3熱膨張率と等温圧縮率に関係する式510/304.3Chapter 3 の数学の応用
Chapter 5熱力学の設定
5-1考える操作510/302.1
5-2熱と仕事510/305.2,5.32.3
5-3壁と温度510/302.1.2
5-4環境611/062.1.3
5-5物質の熱力学的性質:とくに熱容量について611/065.32.2状態方程式と熱容量で熱力学的性質が完全に指定できる、熱容量と比熱
5-6形式的設定2.4
5-6-1状態と状態変数611/062.4.1
5-6-2示量変数と示強変数611/062.4.2
5-6-3過程611/062.4.3
5-6-4仕事と熱611/062.4.4仕事と熱が「過程」の関数であるということ
5-7準静的過程611/065.22.5
Chapter 6熱力学第1法則
6-1熱と仕事の等価性711/135.13.1
6-2内部エネルギー711/135.13.2熱力学第1法則、日常語の「熱」と熱力学用語の「熱」
6-3内部エネルギーの決定711/135.4,7.33.2.1,3.2.2
6-4エネルギー方程式の味わい方811/27(dU/dV)Tと分子間力、エネルギー方程式のどこが「驚くべき」式なのか?
6-5断熱曲線711/136.23.3、演習問題 3.1
Chapter 7熱力学第2法則
7-1永久機関811/274.1
7-2ケルビンの原理811/274.1.1
7-3等温過程における熱力学原理811/274.2最大仕事の原理、最大吸熱の原理
7-42温度機関811/274.3
7-5カルノーの定理8,911/27,12/044.4
7-5-1カルノー機関8,911/27,12/044.4.1
7-5-2カルノーの定理の証明912/044.4.2
7-6絶対温度912/0410.44.5
7-7エネルギー方程式の証明912/04演習問題 4.5
Chapter 8エントロピー
8-1不可逆性912/045.1
8-2エントロピーの定義と本質:単純状態の場合9,1012/04,11 エントロピーの導入の仕方は教科書のままだとわかりづらいので (良く読むと味のある導入法なのだが)、 パラフレーズをする。その前半。
8-3理想気体のエントロピー1012/115.4エントロピーの具体的な計算法の一つを学ぶ。
8-4定理5.4-5.7とその証明1012/11
8-5複合状態の場合1012/115.2,5.3.1エントロピーの導入の後半。
8-6可逆的熱接触-省略5.6
8-7エントロピーの考え方のまとめ直し(熱力学第2法則の言い換え)1112/1810.3,10.4 エントロピーを使って第2法則を再整理:教科書2には無い。教科書1にも明記されているわけではない。
8-8完全な熱力学関数1112/185.5
8-9準静的熱とエントロピー1112/186.2準静的過程の微小変化では Q=TΔS と書けることを示す:教科書2定理 6.4 の半分先取り
Chapter 9ヘルムホルツの自由エネルギー、エネルギー方程式
9-1ヘルムホルツの自由エネルギー1112/18 11.3,11.46.1 導入の仕方を教科書2と少し変える
9-2ルジャンドル変換の数学的意味付け-省略 数学的補足
9-3微分形式による記述121/15 6.2教科書2 6.2 の内容のある程度の部分は 3-2, 3-3, 8-9 で取り扱ったので、ここは数学的取り扱いで 間違えやすい部分に対する注意が主
9-4エネルギー方程式121/15 6.3 教科書の内容に加えて、エネルギー方程式の意味やエントロピーの計算法に関する補足
Chapter 10これまでのまとめ(熱力学の骨格部分) ここからは教科書から離れる。ここでは、 エントロピーの存在を最初に認めるというやり方で、熱力学を整理し直す。
10-1基礎となる前提121/15 エントロピーありき方式
10-2熱力学第1法則、第2法則121/15
10-3熱力学関数(熱力学ポテンシャル)121/15 Maxwell の関係式など
10-4変化の方向121/15 断熱:エントロピーの増分>0、等温:ヘルムホルツの自由エネルギーの増分<外からされる仕事
10-5定圧(等圧)過程131/22 エンタルピーの熱関数としての意味とギブス自由エネルギーの意味
10-6平衡条件131/22 圧力と温度が平衡状態で等しくなる。熱は温度が高い方から低い方に流れる。
10-7平衡状態の安定性-省略 結果(熱容量、圧縮率が正になること)だけを紹介して、導出はノートを渡して説明は省略 [本年度は完全に省略:ノートも配布しない]
Chapter 11相転移 教科書2の 6.5 に相当するが、地球科学における重要性に鑑みて 教科書よりもかなり詳しく扱う
11-1相転移とは?131/22 6.5.1
11-2Clapeyron-Clausius の式131/22 6.5.2 相図の見方、Gibbs 自由エネルギーとの関係を詳細に議論
11-3相変化とマントル対流-省略 olivine-spinel-perovskite 相変化がマントル対流に与える影響
11-4van der Waals の状態方程式と気液相転移-省略 8.3