番号 | 指揮者 | オーケストラ | 録音年 | レーベル | 第1楽章の時間 (括弧内は最後の空白を含まない時間) |
1 | Riccardo Muti | The Philadelphia Orchestra | 1985 | EMI | 7 分 17 秒 (7 分 12 秒) |
2 | Wolfgang Sawallisch | Royal Concertgebouw Orchestra | 1991 | EMI (小学館 クラシックイン) | 7 分 54 秒 (7 分 50 秒) |
3 | Herbert Blomstedt | Staatskapelle Dresden | 1977(? 記載なし) | Deutsche Schallplatten (徳間 CD 文庫) | 8 分 02 秒 (7 分 58 秒) |
4 | Otto Klemperer | Philharmonia Orchestra | 1959 | EMI | 8 分 58 秒 (8 分 51 秒) |
ところで、実はベートーベン自身の指示は「2分音符=108」なので、1分間に 108 小節 進むはずのものである。これは Muti のものに近くかなり速い。 Muti のものでさえ、1分間に 100 小節くらいなので、遅いくらいのものである。
2 と 3 の演奏はテンポの取り方が非常に似ているために、 私の程度に耳にはあまり違いがない。3 の方が少し音が柔らかく、 2 の方が少しシャープである。録音のせいかもしれない。
速めの方はスマートで、私はこちらの方が好みである。 速めの Muti と Sawallisch を比べてみると、録音のせいかもしれないが、 Muti の音は明るくて牧歌的なのに対し、Sawallisch の方は低音まで よく響いているために音が分厚い。
遅めの方は当然粘った感じになる。しかし、かえって スタッカートが目立つので楷書で書いたような感じがはっきり出る。 3 と 4 の違いを挙げると、Blomstedt の方が強弱の付け方などが柔らかく スマートで、Klemperer の方が武骨な感じがする。
テンポは、1,2 が速く、3 はそれより少し遅めで、4 は遅い。 速いもの (1,2) は浮き立つような感じが出てくるのに対し、 遅い方 (3,4) は決然とした行進といった印象が強くなる。
速めの Muti と Sawallisch を比べてみると、録音のせいかもしれないが、 Sawallisch の方が華やかに音が響いて好ましい。
テンポは 1,2,3 はそれほど変わらない。4 は例によって極めて遅く、 演奏時間は他の演奏の 2-3 割長い。それだけに 4 は、 アレグロであるにもかかわらず一音一音きっちり流さずに演奏するぞ! という気持ちが伝わってくる。とくに速いと一音一音がよくわからなく なりがちな低音部もしっかり聞こえてくる。
1,2,3 のテンポは似たり寄ったりなのだが、比べるとやはり 1 が少し速く 3 が少し遅い。第3楽章と同様、Sawallisch のものが一番音が華やかに響き いかにも最終楽章という感じになっている。Muti のはやはり録音のせいか 響きが少し薄い。