元ちとせの歌

テレビ番組1の後で 2002/08/03

元(はじめ)ちとせの歌が流行っている。 私も好きだから、流行るのもよくわかる。 初めて聞くコブシ回しを、バラードにうまく乗せていて 実に新鮮で魅力的だ。で、番組1を見て、それが奄美の風土に 根付いている奄美民謡がベースになっていることを納得した。 裏声を使うのが、奄美民謡の特色で、それは山が険しくて 呼び声に使っていたせいだという一応もっともらしい説明があった (もっとも、山が険しい地方で裏声を使わないところは たくさんあるだろうから、実にいい加減な説明という気はする)。 説明はともかく、たしかに魅力的な裏声である。 音階は、沖縄風ではなく日本風の四七抜き。 また、奄美では、伝統的で歌でメッセージを伝えることが行われていることが 紹介されていた。

それは良いのだが、こういう番組によくある気になったことを2点。 (1)1/f という説明。これは最近聞き飽きて、それだけだと、 だからどうなの?という感じ。(2)もっと問題なのは、 最後の方で、やっぱり音楽は技術ではなくて心だというような まとめ方をしていたところ。元ちとせの歌に関する私の感想は まったく逆で、心はもちろん大事だが、それを支える技術がなければ 心など表現できないことが改めて良く分かる、ということである。 誤ったゆとり教育がはびこるのも、こういう類の「心が大事で技術は二の次」 という誤った体裁の良い文句がはびこるせいである。

演奏