CD 聴き比べ
Mendelssohn Violin Concerto in E minor, Op.64

last update: 2005/05/06
メンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト。4枚所有。 大きくタイプを分類するのに第 1 楽章の演奏時間も書いておく。 速い方から遅い方へという順で並べる。ただし、1 と 2 は2、3楽章の 速さは逆転することもあってそんなに速さの違いはない。

番号独奏者指揮者オーケストラ 録音年レーベル第1楽章の時間
1Nathan MilsteinClaudio AbbadoWiener Philharmoniker 1972, 1973Deutsche Grammophon11 分 39 秒
2Igor OistrachFranz KonwitschnyGewandhausorchester Leipzig 1959edel / CCC12 分 05 秒
3Leonid KoganLorin MaazelBerlin Radio Symphony Orchestra 1974DENON / Ariola-Eurodisc12 分 56 秒
4Nadja Salerno-SonnenbergGerard SchwarzNew York Chamber Symphony 1987EMI (小学館 クラシックイン)14 分 50 秒

全体

独奏バイオリンの雰囲気を比べよう。Milstein は、名手とはこんなもんさ という感じで勢いのある颯爽とした弾き方。運弓法もけっこう楽譜とは変えてあり、 スラーが付いているところも付けなかったりするから、男性的になる。 これに対して Oistrach (Igor の方) は美音で流れるように弾いている。 レガートがとてもきれいだ。といっても、テンポ設定は速めなので、 粘るわけではなくてチャーミングな感じだ。Kogan も美音系なのだが、 レガートの流し方など楽譜に比較的忠実に楷書的にきっちり弾いていっている。 Salerno-Sonnenberg のは繊細だが、私の感覚では、協奏曲にしては 線が細い感じがする。けっこう強弱で表情を付けているのだが、 弱くなるところがオーケストラ相手にしては力を抜きすぎているように思う。 カデンツァのところは、独奏だから表情が大きいのは結構良いのだが。

全体の録音は、新しいせいだと思うが、3 の Maazel-BerlinRSO が 奥行きをもってきれいに入っている。それで、ソロと合わせてバランスが この中では最もとれた感じになっている。2 は古いので録音状態が劣る。

web 豆知識

3 に関して、日本で「ベルリン放送交響楽団」と訳されるものには2つある。 一つは Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin (旧東ベルリン系)である。 もう一つは Radio-Symphonie-Orchester Berlin(旧西ベルリン系)で、 1993 年「ベルリン・ドイツ交響楽団」Deutsches Symphonie-Orchester Berlin と名前を変えている。3 の演奏は西独系の Radio-Symphonie-Orchester Berlinの方。 詳細は ドイツの放送局とオーケストラ 参照
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