CD 聴き比べ
Tchaikovsky Violin Concerto in D major, Op.35

last update: 2005/05/01
チャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルト。5枚所有。 大きくタイプを分類するのに第 1 楽章の演奏時間も書いておく。 速い方から遅い方へという順で並べる。

番号独奏者指揮者オーケストラ 録音年レーベル第1楽章の時間
1Nathan MilsteinClaudio AbbadoWiener Philharmoniker 1972, 1973Deutsche Grammophon17 分 10 秒
2Itzhak PerlmanErich LeinsdorfBoston Symphony Orchestra 1967RCA / BMG Victor17 分 37 秒
3Kyung-Wha ChungCharles DutoitOrchestre Symphonique de Montreal 1981London (同朋社 The Great Composers)17 分 52 秒
4諏訪内晶子Dmitri KitaenkoMoscow Philharmonic Orchestra 1990TELDEC (小学館 クラシックイン)19 分 07 秒
5石川静Zdenek KoslerCzech Philharmonic Orchestra 1978DENON / SUPRAPHON19 分 47 秒

全体

独奏バイオリンの雰囲気を比べよう。Milstein は、速く勢い良く弾いている。 名手が興の乗るまま気分良く飛ばしているという感じだ。Perlman は、 独特の暖かみのある音色でふっくらした感じになる。私はもともと Perlman の 音が好きなので、気分良く聴ける。Chung は硬質な音で、丁寧に表情が付いている。 諏訪内は若干遅いが、その分粘って思い入れたっぷりに歌っていく感じである。 チャイコフスキー・コンクールのガラ・コンサートであるという先入観を入れて 言えば、若さゆえの気負いが感じられる。これら4つはお好み次第で、 それぞれ名演だと思う。それに対して、石川のは、私はヴァイオリンの音色が 気に入らない。演奏のせいか録音のせいか、音に耳障りなものが混じることがある。 また、テンポが遅めなのに表情が足りない(4 は遅くしてあるところには、それに 見合うだけの表情が豊かに付いている)。

オーケストラの方はといえば、録音のせいだと思うが、 3 の Dutoit-OSM の音が一番奥行きがあってシャープである。

第3楽章

450 小節目から 460 小節目のヴァイオリンのソロの部分は、4 は 私の持っているスコア(音楽之友社版)通りの低い音だけのパッセージなのに対し、 それ以外の演奏では高い音にずっと上がっていくパッセージになっている。 楽譜に何種類かあるのだろうか。それとも誰かが作ったならわし?

web ページを見てゆくと

以下には、web ページで見られる評価の例を挙げておく。Chung 盤と 諏訪内盤の評価が高いみたい。どっちも丁寧に情感込めていくタイプ という意味ではわりと似ているからか。
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