初版第1刷発行: 1996 年 5 月 8 日(新装版 2010 年 6 月 8 日)
吉田執筆部分:3 章「地球システムにおける対流とエネルギーの流れ」
出版社:岩波書店
2019 年になって書いているので、うろ覚えの記憶で書いていく。
書いた当時は、私がプロの研究者になりたての頃だったので、けっこう張り切って書いた。 そのため、若気の至りな部分もある。最初の原稿は、たしか専ら熱力学的に書いて 流れの大きさの話などを書いていなかったのだが、流体力学の話が全く無いとわかりにくいじゃないかと 編者の松井孝典さんに注意され、だいぶん書き直した覚えがある。 それはともかく、対流の熱効率の話を書いたのは、この手の教科書としては特徴になると思う。 対流の熱効率というのは、ふつうかなり悪いのであんまり書かないのが普通なのだが、 コアの研究ではけっこう議論されたこともあるので書いてみた。 こういうことが対流の基本だと思うかどうかは、意見が分かれるところであろう。
マントル対流でもコアの対流でも大規模循環のパターンがいかなるものであろうかと考えて書いたのが特徴である。 今時の数値シミュレーションからすると、この内容は古いのだが、書いた当時としては他の教科書ではなかったと思う。