Northern-Apennine オフィオライト巡検 2002


2002/09/11(Wednesday) InterRidge Theoretical Institute に付随して、 北アペニンのオフィオライトを見る巡検

引率:Riccardo Tribuzioさん (Pavia 大学) ら


アペニンは思ったより険しく、行きのバスでは酔って気持ち悪くなった。 いよいよ吐きそうな気分になったときに Stop1 に着いて安心。以下の説明は、 私の記憶によるもので、記憶違いがある可能性もある。
Stop1 : Bonassola の街から南東に少し行ったところの海岸
hornblende の細かい veins が走っている gabbro の観察。
景色写真
Bonassola 村を上方から眺める。ちょっとさびれた(浦辺さんによると 「湾の奥にひっそりといだかれた」というべき)リゾートで、海岸で 日光浴をしている人がそこそこいる。
露頭のまわりのようす
浦辺さんの説明を聞く田中さん、黒川さん、多田さん(右から)。
hornblende veins, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
角閃石の細かい veins(横向きに入っている細かい黒い筋)。角閃石ができるのは 700 ℃以上だけど、そんな高温のところで、どうやって割れ目が入るのかよく わからない、とのこと。veins の向きは、gabbros の foliation にほぼ垂直。 その意味もよくわかっていない。
露頭のまわりのようす
一帯が gabbro の露頭。左から田中さん、玉木さん、多田さん、川田君、黒川さん。
hornblende veins, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
中央付近、縦に角閃石の細かい vein が入っている。中央の塊は、元々 cpx で(ビール瓶の色) vein の周囲だけ hornblende に変わっている(黒く光っている部分)。
景色写真
Bonassola の村。このあたりはけっこう山が険しく、けっこうな崖に家が建っている。
景色写真a, 景色写真b
Bonassola の村を上方から眺める。
景色写真
Bonassola の村の南東方の丘の上から村と反対側を望む。

Stop2 : Bonassola 村付近の Montaretto という場所。ophicalcite の石切り場跡
ophicalcite というのは、マントル岩が serpentine 化したものが、海底に搾り出されてきたときに いっぱい割れ目ができて、そこに calcite がたまったもの。割れ目がに calcite ができるメカニズムは 以下のように考えられている(浦辺さんによる)。割れ目があると H ができて、それがどこからかきた C と 反応してメタンができる(そのようなメタンが海底で見つかっている)。それが、生物的か非生物的か わからないが酸化して二酸化炭素ができて、それがさらに calcite になる。 ophicalcite は、模様がきれいなので石材になる。ここはその石切り場の跡。 なお、Oxford Dictionary of Earth Sciences の ophicalcite の説明には dedolomatization 云々と書いてあるが、これは別に ophicalcite の生成に必要な条件ではなく、あまり 説明が良くない。
石切り場跡
Riccardo Tribuzio さんが説明をしている。白い筋がいっぱい入った黒い石が ophicalcite。 上には激しく変形した石があり、その上には(この写真には入っていないが)、枕状溶岩がある。
岩体全体, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
下のほうのつるつるしている部分が ophicalcite を切り出したところ。その上に、激しく変形した岩があり、 そのまた上が枕状溶岩。
石切り場跡
ophicalcite の石切り場のようす。
石切り場跡
ophicalcite のきれいな模様が見える。
ophicalcite
ophicalcite の表面の様子。この写真はいまいちではあるが。
ophicalcite
ophicalcite の表面の様子を Adam Schultz 氏が観察している。
berries
道端の berries。食べてみると甘い。

Stop3 : Rocchetta di Vara
gabbro breccia と radiolarian cherts が接している場所を見る。ここだけでは わからないが、このへんの層序は、下位から、マントル岩、ophicalcite、gabbro breccia、 radiolarian cherts となっていて、basalt 層を欠いている。解釈としては、 slow-spreading ridge でマントル岩が直接海底に出ているところで、どこからか gabbro の 岩屑流が流れてきて、その上に radiolaria が溜まった、というもの。
cherts, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
チャートの露頭。緑色の層が数枚挟まっているのは、gabbro breccia。
cherts, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
チャートの露頭。中央部のちょっと違っている層が gabbro breccia。Robert Lowell 氏が話を聞いている。
露頭全体の様子a, 露頭全体の様子b, 同注釈付, 同注釈付(Adobe Illustrator 形式)
おおざっぱには、沢の左側がチャート、右側が gabbro breccia。ただし、チャートの所々に 緑色の gabbro breccia の層が挟まっている。gabbro breccia はチャートの層と平行なので、 海底で堆積したものであることが分かる。