研究の紹介
吉田茂生
わくわくセミナー : 2001/04/20
GJ セミナー : 2001/04/24
最近の研究
- コア・マントル熱的相互作用
大学院の時から途中休んだり再開しながら続けているテーマ。
コアの中の流れに関する観測は、ほぼ磁場だけだが、それとて
コア表面のことしか分からないし、流れの時間スケールに比べて
非常に短い観測しかない。それで、単独ではなかなか言えることが
少ないので、マントルとの関連で議論するのが一つの切口である。
私は、マントルがコアに与える熱的な影響の基礎的なプロセスを
地道にひとつひとつ研究して行くというやり方を取っている。
最近の数値ダイナモの大型計算が流行する風潮から言えば異端だが、
必要不可欠なアプローチだと思っている。
- 中央海嶺の熱水循環
川田君と共同で続けている。ケミストリーと流体力学がからむ問題として
おもしろい。2年前ちょうどアーキアンパーク計画が走り出すということで、
いままで全く知らなかったのに研究を始めた。
イギリスにいたときには、これにちなんでキプロスの
Troodos Ophiolite を見に行くなど、楽しませてもらっている。
現在休眠中の研究
- 磁場変動のメカニズム
大学院生の時にやっていたけれど、ちょっとうまくいかないところも
多くて、それ以後休眠中。コア・マントル相互作用という視点で研究をしていた。
柴田君がひょっとして卒論から続けることになったら、復活するだろう。
- 内核の構造とその形成メカニズム
大学院の時から、熊澤先生、隅田君との共同研究を通して、異方性や
内核表面の構造の問題を扱った。いまでも研究テーマとなりうる課題を
いくつか持っているのだが、手が回らない。
- 火山の噴火のダイナミクス
地震研にいたときに、小屋口さんと、噴火のダイナミクスについて
気液2相流の力学という立場で研究をしたのだが、まだやり残したことが
たくさんある。3年前の卒論指導で復活しかけたが、再び休眠中。
やりたいと思ってはいるがいつになるかわからない研究
- 地球惑星内部物質の物性計算
PD の時にだいぶん勉強をしたが、研究を始めるところまで行かず、
それ以後も、今年の「水の物性セミナー」のように思い出したときに
セミナーをするが、ぜんぜん研究になっていない。
この手の計算は手間がかかるわりに、応用への道が遠いのが欠点。
でも、本当は、単なる物性計算ではなくて、流動や破壊などの現象と
組み合わせておもしろい道がたくさんあると思っている。
- コア内のダイナモや波動など
コア内の電磁流体力学でいろいろおもしろい問題は数々ある。
気が向いたらやるかも。
ほとんど過去のものとなりつつある研究
- 重力観測
地震研にいたときは大久保さんに連れられてしょっちゅう重力観測をしていた。
地震研にいたときは絶対重力計 FG5 とラコステ相対重力計を使っていて、
名大に来てから2年生向け実験でシントレックス重力計を使ったから、
現在一般に多く使われている重力計の3種目制覇である。
- 干渉 SAR
地震研にいた頃、地殻変動観測手段として世界中が注目するようになったので、
いろいろ勉強はしたが、外国の後追いになっていて、あまり新しいことが
できそうになかったので、以後放ってしまった。流行が一段落したから、
落ち着いて考えると新しいこともあるのかもしれないが。