気象用語

last update: 2015/01/16

雹(ひょう)と霰(あられ)の区別

気象庁の定義では、「ひょう」は「積乱雲から降る直径 5mm 以上の氷塊」、 「あられ」は「雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、 直径が 5mm 未満のもの」。要するに、直径で区別されている。[情報1]

英語では「ひょう」が hail、「あられ」が graupel である。[情報2]

snow pellets, soft hail, graupel, tapioca snow (あられ)
白色不透明で丸っこい(あるいは円錐形の)雪のような構造をした氷粒子の集まり による降水。直径は 2-5 mm くらい。雹はバリッと簡単につぶれる。その点で 雪粒子とは異なる。過冷却液滴が氷晶の周りにくっついてできる。[情報4]
hail (ひょう)
氷の丸っこいか不規則な塊。おおむね積乱雲で作られる。直径が 5mm 以上のものを 指すのが習わし。小さいものは、以前は small hail と呼ばれていたが、 現在では ice pellets(透明・半透明)もしくは small pellets(不透明)と 分類される。[情報4]

物理的には、霰は空隙が多いもので、雹は過冷却液体が凍るときの潜熱などで 一度液体になって空隙がなくなったものである。[情報3]

情報源

(1) [web] 降水用語集 by 気象庁

(2) [web] 日米気象用語(英和)ver2 by 気象予報士会埼玉支部

(3) [会話] with 上田博氏(名古屋大学水循環研究センター) (2005/02/18)

(4) [web] Glossary of Meteorology by American Meteorological Society


「けんうん」巻雲と絹雲

現在、公式には「巻雲」が正しい。気象庁でも 高校の教科書でも「巻雲」が使われており、「絹雲」は使われていない。 歴史的には以下の事情がある。英語は cirrus で、もともと 「巻く」という意味のラテン語から来ており、その意味で元々「巻雲」 と訳されていた。ところが、1980 年頃、当用漢字では「巻」に「けん」と いう読み方がないことから、気象庁正式名称が「絹雲」になった。 しかし、1988 年に漢字使用規制が緩やかになり、ふたたび「巻雲」に戻った。 この話の出典は、新田次郎「雲の随想」in「別冊山と渓谷 山の雲」 (山と渓谷社 1983/09/01)である。[情報1,2,3]

絹のような雲は、上層のシアのために巻くことが多いので、 そういう意味ではどっちでも良いようなものである。[情報2]

歴史は歴史としても、絹雲もけっこう感じが出た言葉のような気がする、 というのが私の感想。

情報源

(1) [web] 気象観測の手引き (pdf) by 気象庁

(2) [会話] with 上田博氏(名古屋大学水循環研究センター) (2005/02/18)

(3) [web] 高い空1(巻雲)


雲の名前(積雲、積乱雲)

cumulus積雲
cumulonimbus積乱雲

積雲のうちでとくに発達しているが、かなとこができていなくて積乱雲には なっていないものを「雄大積雲 (congestus, cumulus congestus)」 (いわゆる入道雲)という。

情報源

[web page] 雲形 in Wikipedia

[web page] 日米気象用語(英和)ver2 by 気象予報士会埼玉支部


北極振動

北極振動 (arctic oscillation, AO) は、北緯 60 度を境にして、南北の気温変動が逆相関を持つ変動のことである。 これは、北緯 60 度付近の寒帯前線ジェット気流の消長と対応している。 ジェット気流が強い時は、地衡風の関係から、北極圏が低圧で、中緯度が高圧になる。このとき北極振動指数が正であると定義する。 このときは、南北の熱輸送が弱まるので、北極圏が冷たく、中緯度(欧州とか日本とか)が温暖になる。 さらに、欧州は偏西風の強化によって多雨になる。逆に、北極振動指数が負の時は、ジェット気流が弱く、北極圏が高圧で暖かく、 中緯度が低圧で寒くなる。

北極振動は、周期的ではなく、4カ月周期以上では卓越した周期は無い。約 40 年の長周期変動が見られる。

情報源

[論文] 田中博 (2015) 北極振動と地球温暖化の関係, 現代化学 2015 年 1 月号 (Vol.526), 34-35.