マントルの3次元地震波速度構造

original:2009/12/24
last update:2009/12/24

大規模構造

global な構造に関しては、1980 年代から研究が行われてきている。 初期の研究の代表的なものとしては Woodhouse and Dziewonski (1984) JGR, 89, 5953-5986; Dziewonski (1984) JGR, 89, 5929-5952; Nataf, Nakanishi and Anderson (1986) JGR, 91, 7261-7307 などがある。 それらの結果 (l<10 程度)によれば、
  1. l=2 成分が卓越する。zonal (m=0) だけではなくて sectorial (m=2) 成分が大きい。
  2. 浅い構造では l=5,6 成分が多い。これは大陸海洋分布などに関係する。
ということがわかっている。その後、l<30 程度の範囲まで求めても l<10 の成分が卓越しており、上記の描像は変わらなかった。ただし、将来 もっと高波数成分が求められ、プルームが見えてきたりすると話が変わるかもしれない。

流体力学の結果によれば、対流の熱境界層付近では、温度揺らぎが大きくなるはずである。 一方、地震波速度構造の揺らぎが大きいのは、マントル最上部、次にマントル最下部で、 遷移層では特に大きくはない。このことから、マントルにははっきりした2層対流が あるとは考えにくい。

大陸の根

太古代、原生代の古い大陸の下には根があることがわかっている。 このことは、たとえば次のようなトモグラフィの結果から確認できる。 Zhang and Tanimoto (1993) JGR, 98, 9793-9823; Su, Woodward and Dziewonski (1994) JGR, 99, 6945-6981。 太古代、原生代の大陸の生成過程は現在とは違うのかもしれない。

沈み込むスラブ

トモグラフィーの結果から、伊豆小笠原ではプレートが 670km 付近に横たわっているのに対し、 他の場所ではスラブが下部マントルまで沈み込んでいることが分った [Fukao, Obayashi, Inoue and Nembai (1992) JGR, 97, 4809-4822.]

全体的な情報源

[本1] 谷本俊郎 (1997) 「第2章 マントルダイナミクス I ―描像」 in 岩波講座 地球惑星科学 10 地球内部ダイナミクス(岩波書店)