アルカリ度
last update: 2005/06/10
定義と意味
酸性アルカリ性の度合いを示すという意味では pH と似たようなものだが、
かなり良い保存量になるという意味で pH より良い性質を持った指標。
海の場合に電荷バランスを書いてみる。弱電解質で最も重要なものは
炭酸系である。したがって、電荷バランスは
[強電解質の陽イオン] + [H+]
= [強電解質の陰イオン] + [HCO3-]
+ 2 [CO32-] + [OH-]
となる。これを元にしてアルカリ度は
A = [強電解質の陽イオン] - [強電解質の陰イオン]
= [HCO3-] + 2 [CO32-]
+ [OH-] - [H+]
と表現される。強電解質のイオンはそんなに変わらない量だから A は
だいたい保存される。
このことから良い性質がいくつか出てくる。
- ほぼ保存量である。電荷バランスから出てきているので、比較的 robust な
保存量である。
- 測定しやすい。pH は、その場で測らないと、水を実験室に持ってくるまでに
変わってしまいやすい量であるのに対し、A は比較的安定に測定できる。
- たとえば、炭酸カルシウムを作る反応が
Ca2+ + CO32-
→ CaCO3
であっても
Ca2+ + CO2 + H2O
→ CaCO3 + 2H+
であっても alkalinity はどっちにしても 2 mol 分減る。このように
反応の詳細な種類にあまり依らない。
情報源
[講演] 川田佳史(名大 PD)「論文紹介:海洋の biogeochemical cycle」
at 気候名古屋シンプルモデルセミナー (2005/06/10)
名古屋大学環境総合館 7F セミナー室 (716 号室)