炭酸塩

last update: 2006/10/30

二酸化炭素分圧の増減による炭酸塩の沈殿溶解と pH

炭酸塩の沈殿溶解反応は、pH によって異なる。石灰水に 二酸化炭素を溶かしていった場合の反応を考える。

強アルカリ性の場合

結果:炭酸カルシウムが沈殿する。

強アルカリ性の場合は、二酸化炭素は炭酸イオンにまで解離する。

CO2 + H2O → 2H+ + CO32-
この炭酸イオンがカルシウムイオンと結合して炭酸カルシウムが沈殿する。
CO32- + Ca2+ → CaCO3
まとめると
CO2 + H2O + Ca2+ → 2H+ + CaCO3
という反応が起こったことになる。

中性〜弱アルカリ性の場合

結果:炭酸カルシウムが溶解する。このことは、現在の 二酸化炭素増加問題でも、炭酸塩の殻を作る生物への悪影響として 危惧されている。

中性〜弱アルカリ性の場合は、二酸化炭素が溶けることで pH が減る (少し酸性になる)。

CO2 + H2O → H+ + HCO3-
酸性の方に動くと、以下の反応で炭酸カルシウムが溶けるセンスになる (弱酸とその塩による緩衝溶液の反応で、酸性になるのが抑えられる)。
H+ + CO32- → HCO3-
CaCO3 → CO32- + Ca2+
まとめると
CaCO3 + CO2 + H2O → Ca2+ + 2 HCO3-
という反応が起こったことになる(pH をなるべく変えないように反応が進む)。

酸性の場合

結果:そもそも、炭酸カルシウムが存在すれば、溶解して二酸化炭素を発生する。 (強アルカリ性の場合の逆)
2H+ + CaCO3 → CO2 + H2O + Ca2+

情報源

[本] 山中康裕 (2002) 海洋物質循環と古海洋 in 「全地球史解読」 (熊澤・伊藤・吉田編)