マグマ生成における元素の分別

last update: 2009/12/28
岩石が融けるとき、元素によって固相に入りやすいものと液相に入りやすいものがある

major elements

非常におおざっぱに言えば、融点の高い酸化物を作る元素は固相側に入り、 融点の低い酸化物を作る元素は液相側に入る。 Na, Ca, Al, Fe などは液相側に濃集する傾向にある。

Fe

Mg-Fe で固溶体になるような鉱物では、たいてい Fe 端成分の方が Mg 端成分よりも 融点が低い。そこで、鉱物(たとえば olivine) の Fe/Mg は液相側で増える、 あるいは Mg#=Mg/(Mg+Fe) は液相側で減る。

Mg-Fe 固溶体の1気圧での融点
(Mg,Fe) 固溶体Mg 端成分Fe 端成分
olivine [(Mg,Fe)2SiO4] 固溶体 forsterite (Mg2SiO4) 1890℃ fayalite (Fe2SiO4) 1205℃
(Mg,Fe)O 固溶体 MgO 2852℃ (出典: Wikipedia -- Magnesium oxide) FeO 1377℃ (出典:Wikipedia -- Iron(II) oxide)

Cr

Cr は spinel (Mg2+,Fe2+)(Al3+,Cr3+,Fe3+)2O4 に入る。 CIPW ノルムでは、Cr は spinel 族のうちの chromite FeCr2O4 に入れる。

Cr2O3 成分は、マグマ中にはわずかしか含まれないために、 spinel 中の Cr#=Cr/(Cr+Al) は、敏感な融解の指標としてよく使われる。 Cr# は融け残りに多くなる。

情報源

[本] 高橋栄一 (1997) マントルダイナミクス III ―物質 in 岩波講座地球惑星科学 10 地球内部ダイナミクス

minor elements

固相に濃集するものを compatible elements、 液相に濃集するものを incompatible elements と呼ぶ。