有名な海底熱水噴出地帯

last update: 2009/02/13

TAG (Trans-Atlantic Geotraverse) field

MAR (the Mid-Atlantic Ridge) を代表する熱水噴出地帯。 slow-spreading の海嶺でも熱水が出るということを示している。 大きな mound ができているのが特徴。 [論文1] は black smoker を発見したという論文。

TAG mound の位置と大きさ

TAG mound は MAR の北緯 26°08′のあたりにある。 offset の小さい (< 10km) の右横ずれトランスフォーム断層で区切られた 長さ 10 km のセグメントの中にある。rift valley の東側の壁のところにある。 水深は 3620-3700 m である。 場所の特徴としては
(1) 近くに海嶺軸の高まりや rift valley の東壁が突き出ていて rift valley が 狭まっているところがあり、熱源が貫入していることをうかがわせる
(2) mound の楕円の長軸と海嶺軸がだいたい平行であることから、 断層と関連していると想像される
のようなものがある。 ([論文1])

TAG mound は、2つの mound が鏡餅のように重なった形をしている。 内側の mound は、水深 3620-3675 m のところにあり、250×220m の大きさである。 外側の mound は、水深 3675-3700 m のところにあり、長軸の長さは 580m である。 ([論文1])

TAG mound を構成する鉱物

代表的鉱物は、pyrite (FeS2), chalcopyrite (CuFeS2), sphalerite (ZnS), anhydrite (CaSO4) ([論文1])

TAG mound の black smokers

内側の mound を中心に 10 個以上の black smokers がある。 chimney というよりは、割れ目から噴出している。ということは、 それぞれの噴出口はまだ若いのであろう。 ([論文1])

TAG mound の生物相

内側と外側の mound の境界より内側には、半透明のイソギンチャクがたくさんいる。 ハオリムシのようなものもいるが、それほど多くはない。black smokers の 周辺にはエビがいっぱいいる。そのまわりには、カニや魚も見られた。しかし、 貝はあまりいない。 ([論文1])

TAG mound の近所の熱水地域

mound の北東 2km くらいのところに死んだチムニー群が2カ所で見つかった。 ([論文1])

情報源

[論文1] P.A. Rona, G. Klinkhammer, T.A. Nelsen, J.H. Trefry, H. Elderfield (1986) Black smokers, massive sulphides and vent biota at the Mid-Atlantic Ridge, Nature, 321, 33-37.