ところが、実際 1949 年以降で震度7が登場するのは 1995 年の 兵庫県南部地震であり、その間には建築強度が上がっているはずである。 そこで、兵庫県南部地震の震度7の決定に家屋の倒壊率が使えるのか どうかについては疑問が残る。気象庁は、倒壊率 30 % ということで 震度7の領域を発表したが、鹿島建設の武村氏はこれを疑問に思い、 後から倒壊率を調べ直した。すると、震度7とされる地域の木造建物の 平均的な倒壊率は約 10 % だった。建築研究所のデータで全壊だけでなく 大破まで入れれば、全壊・大破率 30 % 以上の地域と 震度7の地域とがだいたい一致する。これは、気象庁による震度7の地域の 認定が妥当でなかったということではなく、むしろ建物の強度が 1949 年に 比べて上がっているので、このくらいの感じが妥当だろうというのが、 武村氏の見解である。
[web page] 武村雅之「揺れのお話―震度VIIの揺れ」 なゐふる vol.7 (1998 年 5 月)