地震のマグニチュード

last update: 2005/04/29

地震のマグニチュードの定義の始まり

1935 年(昭和 10 年) Richter が、地震の大きさを表す目安を作りたい ということで、以下の量を考えた。100 km 離れた場所で、当時よく使われていた Wood-Anderson 式の地震計の振幅の最大値をμ単位で読んで、その常用対数の値を 取ったものをマグニチュード M とした。たとえば、振幅が 104 μなら M=4、振幅が 106 μなら M=6 という 具合である。だから、当時のマグニチュードはまったくエネルギーと 関係付けられた量ではなくて、単なる大きさの目安でしかなかった。

一方、日本では 1943 年(昭和 18 年)、Richter と独立に、 河角広が、100 km 離れた場所での震度をもって マグニチュード Mk とした。 Richter マグニチュード M と、河角マグニチュード Mk との 関係は、経験的に

M = 4.85 + 0.5 Mk
である。

気象庁マグニチュードは、1954 年(昭和 29 年)の坪井公式を基にして 定められてきた。坪井公式とは、Wiechert 式地震計の水平動振幅を基にして、 マグニチュードが

M = 0.5 log (An2 + Ae2) + 1.73 log Δ + 2.17
と表されるとするものである。ここで、振幅 A は mm 単位で測るものとし、 Δは震央距離 (km) である。係数は、標準的マグニチュードにできるだけ 合うように定められた。ただし、現在では気象庁はマグニチュードの公式を 改訂し、別のものを用いている。

情報源

[講演] 武村雅之(鹿島建設小堀研究室) 「科学の目で見る大震災の記録:関東地震を例にして」 at 第3回名古屋大学防災アカデミー (2004/07/13) 名古屋大学環境総合館1階レクチャーホール

[web page] 気象庁マグニチュードの改訂について 地震学会ニュースレター vol.15 No.3 (Sep10, 2003)

[本] 武村雅之 (2003) 「関東大震災」(鹿島出版会) 第2章 震源を探る


モーメントマグニチュードと地震モーメント

モーメントマグニチュードと地震モーメントとの関係

M0 : Seismic Moment
Mw : Moment Magnitude

log ( M0 / dyn-cm ) = 1.5 Mw + 16.1
Mw = log ( M0 / dyn-cm ) / 1.5 - 10.73

log ( M0 / N-m ) = 1.5 Mw + 9.1
Mw = log ( M0 / N-m ) / 1.5 - 6.07

情報源

[本] 宇津徳治 (1984) 「地震学 第2版」(共立全書 216)