有名な噴火のリスト

last update: 2016/06/16

超巨大噴火 (VEI = 7,8)

火山場所噴火名VEI (or M)噴火の特徴被害と影響など
YellowstoneUSA 西部 205 万年前Huckleberry Ridge Tuff 噴火8噴出量 2500 km3
126 万年前Mesa Falls Tuff 噴火7噴出量 280 km3
64 万年前Lava Creek Tuff 噴火8噴出量 1000 km3
Tobaスマトラ島北部 84 万年前古期 Toba Tuff 噴火7噴出量 > 500 km3
50 万年前中期 Toba Tuff 噴火6噴出量 60 km3
7.4 万年 [or 7.3±0.4 万年] 前新期 Toba Tuff 噴火8 カルデラを形成。琵琶湖の面積の 1.6 倍のカルデラ湖ができている。
噴出マグマ〜 2000-3000 km3 [高田・古川 (2014), その元は Chesner and Rose, (1991) Bull. Volcanol., 53, 343]
ヒトの進化のボトルネックになっている可能性がある。数百万人いた人口が一万人程度に激減した可能性がある。
Campi Flegrei (Phlegrean Fields)イタリア(ナポリの西) 3.7 万年前Campanian Ignimbrite eruption7 カルデラを形成。 ネアンデルタール人の絶滅に関係している可能性がある。ただし、ネアンデルタール人の最も新しい骨は 2.8 万年前のものがある。
屈斜路カルデラ北海道 11.7 万年前M7.4マグマ体積 100 km3
4 万年前M7マグマ体積 40 km3
支笏カルデラ北海道 4.1 万年前M7.2マグマ体積 60 km3。火砕流は札幌に達した。
洞爺カルデラ北海道 10.5 万年前M7.4マグマ体積 100 km3。火山灰は北海道と東北の全域を覆っている。
猪牟田(ししむた)カルデラ大分県と熊本県の県境 102 万年前7噴出体積 110 km3 [四国電力 (2015)]。
87 万年前7噴出体積 90 km3 [四国電力 (2015)]。今市火砕流、アズキ火山灰(近畿)、Ku6C火山灰(千葉)。 今市火砕流と近畿地方に分布するアズキ火山灰が対比されることを鎌田浩毅らが示した。
阿蘇カルデラ九州中央部 25-27 万年前阿蘇16噴出体積 50 km3 [四国電力 (2015)]。
14±5 万円前阿蘇26噴出体積 50 km3 [四国電力 (2015)]。
12-13 万年前阿蘇37 (M7)噴出体積 150 km3 [四国電力 (2015)]。マグマ体積 40 km3 [巽 (2016)]。
9 万年前阿蘇47 (M8.4)マグマ噴出量 200 km3 [中島・前野 (2015)]。噴出体積 600 km3 [四国電力 (2015)]。マグマ体積 1000 km3 [巽 (2016)]。 火砕流は山口県の宇部あたりまで達し、北海道や朝鮮半島にまで降灰。
姶良カルデラ鹿児島湾奥 10 万年前姶良福山噴火6噴出量 40 km3
6 万年前姶良岩戸噴火6噴出量 > 20 km3
2.9 万年前姶良 Tn 噴火7 (M8.3)噴出量 450 km3。マグマ噴出量 150 km3 [中島・前野 (2015)]。マグマ体積 800 km3 [巽 (2016)]。 入戸火砕流が九州南部を覆い「シラス」を形成した。 Tn は丹沢の略。当初関東で丹沢パミスと呼ばれていたテフラが姶良カルデラ起源であることを町田洋が確かめた。 テフラはしばしば AT と書かれる。
阿多カルデラ鹿児島湾南端湾口部 24 万年前阿多鳥浜噴火7噴出量 > 100 km3
11 万年前阿多噴火7 (M7)噴出量 400 km3。マグマ体積 40 km3 [巽 (2016)]。
鬼界カルデラ薩摩硫黄島 13-15 万年前
9.2-9.5 万年前鬼界葛原噴火7 (M7.5)噴出量 150 km3。マグマ体積 130 km3 [巽 (2016)]。
7300 年前(水月湖年縞年代は 7325 年前)鬼界アカホヤ噴火7 (M8.1) カルデラを形成。噴出量 >170 km3。 マグマ噴出量 >80 km3 [中島・前野 (2015)]。マグマ体積 500 km3 [巽 (2016)]。
アカホヤ噴火には2段階あった。第1段階ではプリニー式噴火と噴煙柱崩壊型火砕流が起こった。 第2段階では、リング状の火口から膨大なマグマが噴出して大火砕流が発生した(幸屋火砕流)。それとともにカルデラができて、津波が発生した。 液状化の跡から見て、同時に地震も起きていたようだ。
アカホヤ噴火以前も 1.3 万年前頃から噴火が続いていた。
九州南部の縄文文化に大打撃を与える。火山灰は東北地方にまで達した。テフラは K-Ah と書かれる。

情報源


超巨大噴火 (VEI > 6.5)

専門家による小論と噴火リスト
早川由紀夫 現代都市を脅かすカルデラ破局噴火

歴史に残る噴火の数々

火山場所噴火名VEI噴火の特徴被害と影響
1627BC-1600BC のどこか Santorini (Thera)ギリシャ(エーゲ海のキクラデス諸島) Minoan eruption 6 (or 7) カルデラを形成。推移:プリニー式噴火→マグマ水蒸気爆発→火砕流。
噴出マグマ〜 40-60 km3 [Druitt et al. (2012), その元は Sigurdsson et al (2006) EOS, 87, 337]
噴出物〜 60 km3 [McLeish (2006)]
ミノア文明を崩壊させたという説もあったが、年代が合わない。アトランティス伝説の源とも言われる
79 Monte Vesuvio (Mount Vesuvius)イタリア(ナポリの東) 5 プリニー式噴火。 ポンペイとヘラクラネウムの町が火山灰と火砕流で埋め尽くされた。 小プリニウスが記録を書き残している。大プリニウスは、火山ガス中毒で絶命したと見られる。 このために「プリニー式噴火」の名前が付いた。犠牲者は 3360 人。
535 Krakatauインドネシア(ジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡) 世界的な異常気象の原因がおそらく Krakatau の噴火であると考えられているのだが、詳細は不明 [石(2012)] ジャワ島西部のカラタン文明の崩壊。日本・朝鮮・中国で異常気象の記録。東ローマ帝国では、寒波に続いて、541 年以降、ペストの流行。 メキシコのテオティワカン文明の衰退をもたらしたと考えられる。
864 富士山日本 貞観噴火 5 噴出したマグマは 30 億トン。青木ヶ原樹海が乗っている溶岩。「せのうみ」を精進湖と西湖に分断した。 貞観地震の 5 年前に起きている。
915 十和田カルデラ日本 5 放出されたマグマは 2.1 km3。過去 2000 年間では国内最大の噴火。 貞観地震の 46 年後に起きている。
930-940 ころ? 白頭山北朝鮮・中国国境付近 6--7 噴出物は 83-117 km3。1年の間に2回大きな噴火があったらしい。 そのテフラは、日本では白頭山苫小牧火山灰 (B-Tm 火山灰)層と呼ばれている。 渤海国の滅亡 (926年) の直後に噴火したようだ。歴史記録があまり残っていない。
1314 から 4,5年 Tarawara Volcanic Complexニュージーランド北島 Kaharoa eruption 5 噴出物は 5 km3 DRE。rhyoritic magma ヨーロッパで 1315-1317 年に起こった大飢饉 (The Great Famine) の原因かもしれない。 ただし、VEI 5 だと異常気象の原因としては小さすぎる気がする。とはいえ、Wikipedia にも記載があるからそれなりに有名な説ではありそうだ。
1600 Huaynaputinaペルー南部 6 (or 7) 火山灰が 30 km3 [石(2012)]。
現在あるテフラが 19.2 km3 = 9.6 km3 DRE。実際の噴出物量はこれよりもだいぶん大きいだろう。 [de Silva & Zielinski (1998)]
成層圏に行った硫酸の量は 〜70 Mt [de Silva & Zielinski (1998)]
1601 年、ロシアで異常寒波、餓死者が 1603 年までに 200 万人。長野県の諏訪湖でも御神渡がかなり早く来た。
1707 富士山日本 宝永噴火 5 宝永火口の形成。噴出物 1.7 km3 [石(2012)]。マグマは 0.7 km3 [中島・前野 (2015)]。 江戸でも 5 cm の降灰。小田原では、被害が広域に及ぶので、藩地を幕府直轄領にして復旧にあたった。
1783-1785 Laki (Lakagigar), Grímsvötnアイスランド 6 溶岩 14 km3、12000 万トン硫黄酸化物、800 万トンフッ素化合物 [石(2012)] アイスランドでは農作物が全滅、家畜が激減、9300 人餓死。1789 年のフランス革命の遠因とも言われる。
1783 浅間山日本 天明大噴火 6/25 噴火開始、8/4-5 火砕流 火砕流による死者 1624 人。ラキ噴火の影響もあって、1783-1787 年には天明の大飢饉。
1792 雲仙眉山日本・島原半島 山体崩壊 岩屑なだれによって有明海で津波が発生し、15000 人死亡。日本の火山災害史上最多の犠牲者を出した。
1815 Tamboraインドネシア(小スンダ列島のスンバワ島) 7 噴出マグマ〜 50 km3 [高田・古川 (2014), その元は Sigurdsson and Carey, (1989) Bull. Volcanol., 51, 243]
噴出物〜 100 km3 [McLeish (2006)]
噴出物 1700 億トン [石(2012)]
かつて 4300 m の高さがあった山の山頂部が失われ、直径 6 km のカルデラができた。現在の高さは 2850 m [中島・前野 (2015)]。 1812 年から活動が始まり、1815 年 4 月 5 日に最初のプリニー式噴火が始まる。4 月 10 日に大火砕流が発生。
島民 12000 のうち、生存者は 26 名。いろいろ合わせて犠牲者は 117,000 人(火砕流と津波で 10,000 人、疫病と飢饉で 82,000 人)
翌 1816 年は The Year Without A Summer と呼ばれる通り、欧米で異常寒冷化。日本への影響は不明。 地球全体では平均気温が 0.4-0.7 ℃下がったと言われる [元は Encyclopedia of Volcanoes (2000)]。
1883 Krakatauインドネシア(ジャワ島とスマトラ島の間のスンダ海峡) 6 8/27 に大噴火。
噴出マグマ〜 12 km3 [高田・古川 (2014), その元は Mandeville et al., (1996) Bull. Volcanol., 57, 512]
テフラ〜 18 km3 [de Silva and Zielinski (1998), その元は Simkin and Fiske (1983) "Krakatau 1883", Smithsonian Inst.]
噴出物〜 21 km3 [石 (2012)]
津波で 3 万 6 千人余りの死者。1884 年は世界中で低温。日本でも困窮した農民が秩父事件を起こす。 噴火後 3 年くらいは世界各地で美しい夕焼けが見られた。
1902 Pelée西インド諸島 Martinique 島(フランス海外県) Pelée 型火砕流 火砕流で当時の県庁サン・ピエールが全滅。3 万人の市民のうち、生存者はわずか 3 名。
1912 Katmaiアラスカ Novarupta 6 テフラ〜20-25 km3 [de Silva and Zielinski (1998), その元は Hildreth (1987) Bull. Volcanol., 49, 680]
1914 桜島日本・鹿児島 大正噴火 桜島が九州本土と陸続きになる。
1943 Parícutinメキシコ 単成火山で高さ 900 m の噴石丘 新しい火山の誕生が最初から観測されたという意味で知られている。
1963-1964 Agungインドネシア バリ島 5 1963/03/17 の火砕流で死者 1500 人。気温への影響もあったとされる。
1980 St Helensアメリカ ワシントン州 5 5/18 山体崩壊とともにプリニー式噴火 5/18 の大噴火で 57 名死亡。
1982 Galunggungインドネシア ジャワ島 4 火山灰で航空機のジェットエンジンが一時的に故障し、火山灰の航空機への危険性を印象付けた。
1982 El Chichónメキシコ 5 死者 2 千人超。気温への影響もあったとされる。
1985 Neved del Ruizコロンビア 3 ラハールにより、アルメロの町を中心に死者 2 万 6 千人超。
1986 三原山日本・伊豆大島 昭和61年(1986年)伊豆大島噴火 3 11/15 噴火開始。11/21 割れ目噴火、噴煙の高さ 1 万 m 超。 マグマ噴出量は 0.029 DRE km3 [気象庁 web page]。 11/21 夜、全島民 1 万人余が島外避難。一カ月程度避難が続く。[気象庁 web page]
1989-1990 Redoubtアラスカ 3 火山灰で航空機のジェットエンジンが一時的に故障し、火山灰の航空機への危険性を印象付けた。
1990-1995 雲仙普賢岳日本・島原半島 Merapi 型火砕流 1991/06/03 の火砕流により報道関係者らが死亡。
1991 Pinatuboフィリピンルソン島 6 6/7 最初の爆発。6/15 にクライマックス。
テフラ〜10 km3 [de Silva and Zielinski (1998), その元は Scott et al (1996) in "Fire Mud", Univ. Washington Press, 545]
噴出物〜10 km3、硫黄酸化物 1700 万トン [石(2012)]
犠牲者 350 人以上。6.5 万人余りが避難して大災害を逃れた。地球全体の気温が 0.4 度低下。翌年からオゾンホールが急拡大。
2000 有珠山日本・北海道 1 3/27 から火山性地震が頻発、3/31 に噴火が始まった。 噴火の 2 日前の 3/29 に周辺市町村に避難指示が出された。噴火予知成功例。
2014 木曽御嶽山日本・長野・岐阜 1 9/27 小規模な水蒸気爆発。噴出総量は 50 万トン程度 [早川由紀夫 blog] (ということは、2 × 10-4 km3 DRE)。 北西側に 1km 程度、南西側に 2 km 程度火砕流が流れた [小山真人 twitter]。 9/27 好転の土曜日の真昼に爆発したために、山頂付近に多くの登山者がいて、山頂付近で死者 50 名超の大惨事になった。 犠牲者の多くは噴石が当たって死亡したと見られる。
9/10,11 ころ火山性地震が 1 日 50 回を超えたものの、その後低いレベルで推移していたことと、地殻変動が見られなかったことから (正確には爆発の 7 分くらい前から傾斜計に変化があった)、警戒情報は出されていなかった(解説情報は出されていた)。突然の爆発であった。
2022 HungaTonga 5 前年 12/20 以降活動が活発化。1/13-14 高度 20 km に達する噴煙を生じる噴火が発生する。 1/15 4:07 UTC 噴煙が発生し、4:30 ころに高度 50 km 以上に達する。この噴火に伴って 太平洋全域で津波が観測された。遠地の津波は、大気波動が励起したものと考えられ話題になった。 マグマ噴出量は、平均噴出率と噴火継続時間から、2-3 km3 と推測される [前野 (2022)]。

DRE = dense rock equivalent

情報源