文明のなかの科学

村上陽一郎著
青土社
刊行:1994/06/20
名大生協で購入
読了日:2004/02/24
著者が「現代思想」に1年間連載したものということで、ほぼ同じ分量の12章からなる本。 昨年11月ころ前半を読み、その後紛れて後半を最近読んだので、最初の記憶は薄れてしまったが、 ノートを取りながら読んだので、それを見返すと大体なんだったか復習できる。

題名から科学論を期待して読んだのだが、むしろこれは文明論であり、結局西欧近代文明に 対抗する相対主義を説くものであった。説かれていることはもっともなのだけれど、 今ひとつインパクトが弱いという感じがする。いろいろ文化があってそれぞれ大事で、 でも西欧近代文明も大事で、その相克の中でもがいていきましょう、という感じの結論だった。 それはその通りだけど、それが何を生むのかわからないので印象が弱い気がする。 とはいえ、最終章によると、このような考え方は西欧人からは激しく反発されたのだそうだ。 反発を招くということは、西欧人から見るとインパクトが強いということなのだろう。 そのへんは日本人のほうが柔軟ということか?