題名から科学論を期待して読んだのだが、むしろこれは文明論であり、結局西欧近代文明に 対抗する相対主義を説くものであった。説かれていることはもっともなのだけれど、 今ひとつインパクトが弱いという感じがする。いろいろ文化があってそれぞれ大事で、 でも西欧近代文明も大事で、その相克の中でもがいていきましょう、という感じの結論だった。 それはその通りだけど、それが何を生むのかわからないので印象が弱い気がする。 とはいえ、最終章によると、このような考え方は西欧人からは激しく反発されたのだそうだ。 反発を招くということは、西欧人から見るとインパクトが強いということなのだろう。 そのへんは日本人のほうが柔軟ということか?