壮絶なる星の死   超新星爆発

高原まり子著
NEW COSMOS SERIES 7、培風館
刊行:1994/04/20
名大生協で購入
読了:2004/04/26
教養の講義のために読んだ科学啓蒙書第2弾。 超新星爆発のメカニズムの解説が最新の研究成果まで含めて 数式を控えてわかりやすく書いてある。わかりやすくといっても、 この内容はたぶん大学1、2年生には難しいだろう。物理系の4年生程度が 教養の一つとして読むのに丁度良い程度であろう(私にも丁度良い)。

天文の啓蒙書を見ると、質量が○○より大きくて○○より小さい星は 超新星爆発をして中性子星が残る、などと確定的によく書いてあるので、 爆発のことは研究されて良くわかっているのかと思ったら、 この本を見ると、まだいろいろわからないことが多いようだ。 たとえば、爆発の数値シミュレーションは難しく、たいてい 思ったように爆発しないということだ。数値シミュレーションでは 中性子星ができてほしい条件でも、物質がコアに落ちて すぐにブラックホールができてしまったりするらしい。

この本には、超新星 SN1987A の話も最近の話題として取り上げられている。 奇しくも先週、この超新星のニュートリノを検出した小柴先生の講演会があった。 もっとも講演では、超新星の話よりは、太陽ニュートリノの話の方に 時間を割いていたが。この本によると、超新星起源のニュートリノの検出は 画期的ではあったが、検出数が少ないので、ニュートリノの総量から 中性子星の形成が示唆されるということ以上の情報はないということだ。

ある程度ノートを取りながら読んだ。

本書には、ちょっとごたごたした感じがするところや、前後の関係が 今一つはっきりしないところも散見されるが、全体としてはよく まとまっていると思う。ごたごたするのは、そもそも超新星の話には いろいろな物理過程が関係しているので、ある程度やむを得ないところではある。