ねずみさんのながいパン

多田ヒロシ(文・画)
こぐま社
刊行:2000/06/20、刷:2011/06/01(第38刷)
九大生協で購入
読了:2011/07/23
続編と趣向は似ている。 ストーリーは単純で、ねずみさんが買った長いパンを家に持って帰るというだけ。 ポイントは、その途中にあるいろいろな動物の家の食卓を見て行くところである。 「ねずみさんは とっとこ とっとこ どこに いくのかな。このうちかな?」と 書いたページがあって、ページをめくるといろいろな動物の家の食卓が出てくる。 それを利用して、動物の名前や食べ物の名前を子どもに聞いていけば、子どもと対話ができる。 そういうふうにして言葉をおぼえたての子どもと一緒に楽しむ本である。 10年以上版を重ねるロングセラー。

ただし、続編とちがって、ひとつ困った点がある。 うちの娘は、「ねずみさんは とっとこ とっとこ どこに いくのかな。このうちかな?」 のところで「ぞうさん」とか「うさぎさん」とか答えてくれる。 そこで私が「そうだね。よくできたね。」などと言うわけだが、 ページをめくったところででてくる文が「あっ ちがった」とか「また ちがった」なのが困る。 「そうだね」と言った後で「ちがった」と言うわけにもいかないから、私は「ちがった」を飛ばして 読むことになる。もちろん、この「ちがった」は、「このうちかな?」に対する答えで、 ねずみさんの行き先ではなかったという意味なのだが、娘は「どこに いくのかな?」に 反応してしまうので、話がずれてしまうのである。続編にはこのようなことが無いので具合が良い。

このような具合が悪い点があるにもかかわらず、人気があるらしいのは、 やはりいろいろな動物や食べ物が出てくるのと、絵が万人向けなためだと思う。 うちの娘も気に入っているようだ。