熱力学
三宅哲 著
裳華房
刊行:1989/04/05、刷:2012/02/20(第21版第4刷)
九大生協で購入
読了:2013/05/15
押田・藤城本に引き続いての熱力学本の物色。
同じ出版社から出ているのに、押田・藤城本にあるような欠点が無く、これは良い教科書である。
初版の約 20 年の差は大きいようだ。いまだに押田・藤城本が売られているのが不思議である。
その後、もっと現代的な論理の教科書もいろいろ出ているが、標準的スタイルの教科書で
初学者が自習できるもの(演習問題の答が付いている)としては、
これで決定版に近いのではないだろうか。
あんまり個性が強くない分さらさらと読める。
それでいて、注意してみると、細かく気を使っている部分があることもわかる。
たとえば、
- 外界の温度と内部の温度がきちんと区別されている。
- 演習問題には、理想気体ではない気体を使う例も取り入れられており、
よく初心者が理想気体の性質を熱力学一般の性質と間違えてしまう誤りを
避けるような工夫もなされている。
- マクスウェルの等面積則がギブス自由エネルギーの図を使ってわかりやすく説明されている。
標準的教科書にプラスされている部分としては、エクセルギーの説明があって(9.8節)、
私はエクセルギーが何であるのかが初めてわかった。