本書は以前この本が出版されたばかりの時にも読んだのだが、 某1年生向け授業で「私にとっての学び」みたいなことを語らないといけなくなり、参考にと思って再読した。 やはり大学1年生にはこういうことを一度は教えないといけないと思った。 というわけで、ここの教養論、大学論を自分なりにアレンジして講義材料とすることにした。
これはもうすでに 20 年近く前の本で、この本の影響もあってか、その後、大学では教養教育が再び重要視されるようになり、 中等教育ではゆとり教育が廃止された。しかし、ここに書かれているようなことが十分に大学教育に反映されているかといえば、 まだそうではない。たとえば、「世界概論」の講義を設けよというような提言はなるほどと思うが、今でもそんな講義は無いし、 作っている大学があるとも聞いたことは無い。大学では小手先の「改革」が繰り返され、そのたびに教員は疲弊してゆくような有様である。
改めて読み返して、「大学とは何か」という問いを少しずつでも考え続けないといけないなあと思った次第。