これまで河合隼雄の書いた本を1,2冊読んだことがあるのだが、 あんまり腑に落ちた覚えが無い。今度は、そのご子息による解説だけれども、やっぱり何か違う感じがすることは否めない。 無意識が問題になっているので、何が正しいのかはもちろんなかなかわかるものではない。 私は、心理療法家のようにいろいろな人の悩みを聞いたわけではないから、必然的に自分の心に問うてみるわけだが、 自分の心の動きに合っている感じがしない。
でも、第4回になるとだいぶんわかる感じがしてきた。ということは、やっぱりユング心理学は少なくとも日本人には合わないということではないだろうか。 河合自身も結局ユング心理学を学んで日本に広めてはみたものの、結局これは違うと思って仏教に近づいたということのようだ。 第3回の話までは、図式化に硬直したものが感じられるのに対して、第4回の世界になってユング派の図式から脱してきたなと感じる。 もっとも、河合が惹かれたという華厳経はもともと中央アジアのものなので、これを東洋というのかどうかは疑問ではある。 単に仏教の中に普遍的な真実の一端が表現されているということだと思う。 いずれにせよ、心の問題はユングの図式だけでは、どこかうまくいかないところが出るということだろう。