メディアと私たち

著者堤 未果・中島 岳志・大澤 真幸・高橋 源一郎
シリーズ別冊 NHK 100分de名著
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2018/12/05(第1刷)
電子書籍刊行2018/10/31
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読了2019/07/08

『100分deメディア論』が 2019 年 6 月 22 日に再放送されたのを機にテキストも買って読んでみた。 放送局や報道の問題と深く関わることもあってか、「100分de名著」特別編の中でも特に力を入れてあるように見えた。 取り上げられている本は、いずれもそのうち読んでみたいと思わせられた。

やや気になったのは、山本七平が取り上げられていることである。かつて『日本人とユダヤ人』が大いに 批判されたこともあり、その批判と山本とどちらが正当だったのか現在の評価はどうなのだろうか。 参考のために、ネット検索してみて引っかかった記事:武田徹 日本ノンフィクション史 「「作者不明」の顛末――イザヤ・ベンダサン『日本人とユダヤ人』」 を挙げておく。『日本人とユダヤ人』は、中身の正当性はともかく、一般向けの本にありがちな根拠をきちんと示さない評論であったことは確かなのだろう。 しかし、それなりの新鮮な考察があったことが今でも評価されているというところだろうか。なお、ここで山本七平を取り上げている 大澤真幸は『日本人とユダヤ人』も高く評価している。とはいえ、 いわゆる日本人論には一般に怪しげなところがあることは 認識しておかないければならないだろう。ここで紹介されている『「空気」の研究』でも、一神教の世界では 「空気」は相対化されると書かれているようだが、日本で「空気」が強い力を持つのが一神教ではないせいだと 本当に言ってよいのかどうか私には腑に落ちない。

「100分deメディア論」放送時のメモと放送テキストのサマリー

第1章 世論とメディア

解説:堤未果

選んだ本:W. リップマン『世論』(岩波文庫)

第2章 なぜ偏向報道は生まれるのか

解説:中島岳志

選んだ本:エドワード・W・サイード『イスラム報道』

第3章 メディアと「空気」

解説:大澤真幸

選んだ本:山本七平『「空気」の研究』

第4章 メディアの未来

解説:高橋源一郎

選んだ本:ジョージ・オーウェル『1984年』

最終章 マスメディアはどうあるべきか