日本美術の底力 「縄文×弥生」で解き明かす

著者山下 裕二
シリーズNHK 出版新書 619
発行所NHK 出版
電子書籍
電子書籍刊行2020/04/30
電子書籍底本刊行2020/04/10(第1刷)
入手電子書籍書店 honto で購入
読了2021/09/21
参考 web pages山下裕二研究室(公認) twitter

日本美術を縄文系統(=「盛る」美)と弥生系統(=「削る」美)の二系統に分けて見てゆくという試みで 楽しく読める。縄文系統は、 辻惟雄が『奇想の系譜』として見出した若冲や蕭白に代表される画家・作家たちで、長らく日本美術の メインストリームからは外されてきたが、ここ数十年は大人気になっている。弥生系統は、長らく日本美術の メインストリームとされてきたいわゆる「侘び寂び」ものだが、最近は縄文系に押され気味である。

2系統に分けると言っても単純に分けられるものではなく、その両方で紹介されている雪舟や等伯のような 画家もいる。さらに、もともとそのどちらでもない画家もいると思うが(たとえば応挙とか)、それは省かれている。 二項対立として描くことで楽しい読み物になっている。

著者は、もちろんどちらかといえば縄文押しで、それというのも岡本太郎の「縄文文化論」に強く感化されているからであろうし、 辻惟雄に師事しているからでもあろう。岡本太郎と言えば、私も若いころに何冊か本を読んで、強く影響された。 著者は、日本美術の独創性を発掘することに力を入れておられ、最後に紹介されている作家は、 彫刻家の西尾康之である。

以下、読んでいて気付いたこととか印象に残ったこととか: