キリスト教でたどるアメリカ史

著者森本 あんり
シリーズ角川ソフィア文庫、角川文庫 21921
発行所KADOKAWA
電子書籍
電子書籍刊行2019/11/21
電子書籍底本刊行2019/11/25
文庫底本刊行2006/05 新教出版社刊『アメリカ・キリスト教史』
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読了2025/07/29
参考 web pages 著者による自著紹介ページ
著者インタビュー in カドブン(KADOKAWA 文芸)

著者の別の著書『 反知性主義』を読んだついでに読んでみた。アメリカは最初からキリスト教国家であったという点は、 アメリカを考えるうえで本質的だと著者は考えており、したがって、アメリカのキリスト教史は アメリカ史に不可欠なパーツであるという考えの下に書かれた本である。 『反知性主義』が信仰復興(リバイバル)運動の歴史を軸として書かれているから、 本書と重なるところも多い。

日本のキリスト教はアメリカのキリスト教の影響を強く受けているから、アメリカのキリスト教 の歴史を追っていくと、日本のキリスト教の理解も深まるという意味もあった。 日本のプロテスタントの各教派はアメリカの教派とだいたい対応しているので、 アメリカの教派を理解しないと、日本の教派は理解できない。 日本にはキリスト教徒は少ないから、アメリカからの影響を一方的に受ける感じになっているのだろう。

少し読みにくいなと思ったところは、事実が羅列的に並べられているところが多く、 背後に流れている論理が必ずしもよく分からない点である。もちろんそれをやりすぎると 著者の解釈が全面に出過ぎたりするのでまずい場合もあるが、もう少し書いても良かったのでは ないかと思う。そうなってしまう一つの理由は、『反知性主義』を読んでわかったが、 アメリカのキリスト教の場合は、教派による教義の違いがあまり重要ではないらしいということがあるのかもしれない。 日本の仏教史を見ていくと、教義の違いで人々への広がり方が大きく違うので、教派の論理が 歴史に影響するようなことが分かって面白いのだが、アメリカのキリスト教ではそういうことがないらしい。

年号が必ずしも書かれていないところがある点もわかりにくい。 たとえば、第4章の大覚醒がいつの時代を指し、第5章の独立革命がいつの時代を指すかが 明示的には書かれていない(以下のサマリーでは別の情報源から補ってある)。

サマリー

第1章 「アメリカ」の始まり

第2章 ニューイングランドの建設

第3章 ピューリタンの信仰と生活

第4章 大覚醒

第5章 独立革命期

第6章 諸教会の進展と変容

第7章 アンテベラム時代

第8章 新しい信仰の諸形態

第9章 南北戦争期

第10章 アメリカの膨張

第11章 二つの世界大戦

第12章 戦後から現代へ