著者の別の著書『 反知性主義』を読んだついでに読んでみた。アメリカは最初からキリスト教国家であったという点は、 アメリカを考えるうえで本質的だと著者は考えており、したがって、アメリカのキリスト教史は アメリカ史に不可欠なパーツであるという考えの下に書かれた本である。 『反知性主義』が信仰復興(リバイバル)運動の歴史を軸として書かれているから、 本書と重なるところも多い。
日本のキリスト教はアメリカのキリスト教の影響を強く受けているから、アメリカのキリスト教 の歴史を追っていくと、日本のキリスト教の理解も深まるという意味もあった。 日本のプロテスタントの各教派はアメリカの教派とだいたい対応しているので、 アメリカの教派を理解しないと、日本の教派は理解できない。 日本にはキリスト教徒は少ないから、アメリカからの影響を一方的に受ける感じになっているのだろう。
少し読みにくいなと思ったところは、事実が羅列的に並べられているところが多く、 背後に流れている論理が必ずしもよく分からない点である。もちろんそれをやりすぎると 著者の解釈が全面に出過ぎたりするのでまずい場合もあるが、もう少し書いても良かったのでは ないかと思う。そうなってしまう一つの理由は、『反知性主義』を読んでわかったが、 アメリカのキリスト教の場合は、教派による教義の違いがあまり重要ではないらしいということがあるのかもしれない。 日本の仏教史を見ていくと、教義の違いで人々への広がり方が大きく違うので、教派の論理が 歴史に影響するようなことが分かって面白いのだが、アメリカのキリスト教ではそういうことがないらしい。
年号が必ずしも書かれていないところがある点もわかりにくい。 たとえば、第4章の大覚醒がいつの時代を指し、第5章の独立革命がいつの時代を指すかが 明示的には書かれていない(以下のサマリーでは別の情報源から補ってある)。