サン=テグジュペリ 人間の大地

著者野崎 歓(かん)
シリーズNHK 100分de名著 2025 年 8 月
発行所NHK 出版
電子書籍
刊行2025/08/01(発売:2025/07/25)
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読了2025/08/30

サン=テグジュペリと言えば、 『星の王子さま』を読んだことがあるだけである。解説を読むと、サン=テグジュペリはもともと文学青年ではあったが 飛行機乗りになる前はたいした作品が書けなかったのだそうだ。それが、飛行機乗りになって高い精神性のある作品が 書けるようになった。その到達点が『人間の大地』だとのこと。

第2回「惑星視点で見る」の解説を読むと、当時の飛行機乗りは、今で言えば宇宙飛行士のようなもの だったということがわかる。空高くから惑星地球を見るという経験は、他では得難い精神的な経験であった。 宇宙飛行士の精神的な体験をまとめた本として、立花隆『宇宙からの帰還』があるが、 『人間の大地』では、それと同様な体験が、文学的な修辞を使って美しく書かれている。

砂漠で遭難した体験も美しく詩的に書かれる。ベドウィンが助けてくれたことも宗教的啓示のように描かれている。

われわれを救ってくれたリビアのベドウィンよ、それなのにきみは、わたしの記憶から永遠に消え去るだろう。 きみの顔を思い出すことは決してないだろう。きみは「人間」であり、わたしの前に同時にありとあらゆる 人間の顔で現れる。きみは顔をまじまじと見たりするまでもなく、すぐにわれわれを認めてくれた。きみは 最愛の兄弟だ。そしてわたしもまた、あらゆる人間のうちにきみを認めるだろう。[野崎訳]
Quant à toi qui nous sauves, Bédouin de Libye, tu t’effaceras cependant à jamais de ma mémoire. Je ne me souviendrai jamais de ton visage. Tu es l’Homme et tu m’apparais avec le visage de tous les hommes à la fois. Tu ne nous as jamais dévisagés et déjà tu nous as reconnus. Tu es le frère bien-aimé. Et, à mon tour, je te reconnaîtrai dans tous les hommes.

「100分de名著」放送時のメモと放送テキストのサマリー

第1回 飛行機乗りの仲間たち

『人間の大地』という作品

Antoine de Saint-Exupéry (1900-1944)

第2章「仲間たち」

第2回 惑星視点で見る

惑星視点で見る

第5章「オアシス」

第3回 砂漠に落っこちる

1930 年代のサン=テグジュペリ

第7章「砂漠の中心で」

第4回 人間よ、目覚めよ!

第8章「人間たち」