谷川俊太郎と言えば日本を代表する詩人だし、以前にも『二十億光年の孤独』を読んだ。みずみずしい感性が印象的だった。
谷川の詩がどうして愛されるのか、読んでみるとすごくよく分かる。平易な言葉選びをしていながら、 イマジネーションがぱっと膨らむ。汚さが無くて、ずっと子供の感性が続いているような清潔感がある。
老いた谷川が死を詠んでいる『臨死船』でさえ以下のように、ある種清々しく終わる。
ここからどこへ行けるのか行けないのか死の寂しさが描かれているのだけれども、そこには音楽が流れているのだ。葬送曲ではないと思う。 澄んだ爽やかな音楽に違いない。
音楽を頼りに歩いて行くしかない
「はじめに」によれば、番組を企画したときには、谷川にも出演してもらう予定だったという。 それが、昨年9月に亡くなったので叶わなくなったとのことで、残念なことであった。
『100 分 de 名著』の公式ウェブページが 最近改悪されてしまったこともメモしておく。以前は、ディレクターによるエッセイが放送の前後に 書かれていて楽しく読めたのだが、「インターネットサービスに関するルール変更に伴い、 この公式ページに関しては4月1日以降、現在進行形で放送中の内容に関する情報のみに絞って情報を 掲載させていただく形になります。」だそうで、ディレクターのエッセイは放送前のものだけになってしまった。 しかもせっかく作ってあった過去のアーカイブにもアクセスできなくなった。 今の NHK 上層部はウェブページの作り方もわからない老害のようである。 せっかく職員がコツコツ作っていた資源をぶち壊しにしてしまうとは、気が狂っているとしか言いようがない。 ウェブページは、昔からボトムアップで内容を充実させていくもので、トップダウンで統制すると 内容がやせ細ってしまう。 安倍政権以来、NHK 会長が財界から選ばれるようになったが、その多くは失敗人事であった。 金儲けマインドが染みついた人間に公共放送を任せるのが間違いである。