第 7 章 地震と地震災害
最終更新日:2008/07/25
7-1 自然災害のいろいろ
[配布表:インターネットで防災情報を]
自然災害には以下のようなものがある。
地震、気象災害[風水害・雪害(台風、集中豪雨)]、火山
どういう災害がどれほどたいへんなものかを知るために、死者数を比べてみよう。
- 地震
- めったに起こらないけれど、起こったときの被害が大きい。
平均すると、年数 100 人くらいの死者になる。
- 風水害・雪害
- 毎年だいたい同程度起こっている。年 100 人くらい。ただ、
治水の発達にしたがって被害は以前よりは減ってきている。
伊勢湾台風で 5000 人以上の死者を出していたのをはじめ、昭和 20-30 年代では
1000 人規模の死者を出した風水害がけっこうある。しかし、今ではそんなに
死者を出す風水害はない。とはいえ、2005-2006 年冬の大雪(平成18年豪雪)
では死者が 151 人に上っている
(気象庁|平成18年豪雪)。治水だけの問題ではない。
- 火山
- 普通の噴火で、適切に逃げていればそう多くの死者は出ない。
ただし、潜在的には巨大災害の可能性があり、年間?人というのは難しい
(1万年に1回くらい 100 万人くらい人が死ぬ噴火が起こりうる)。
そういう巨大噴火でどういうことが起こりうるかのイメージをつかむには、
石黒耀著「死都日本」という SF が面白い。フィクションだが、
著者はよく勉強している(ただし、もちろん現実的でないことがらもある)。
もうちょっと実感を湧くようにするために、昭和 20 年以降の
死者・行方不明者 2000 人以上の災害を見てみると
- 三河地震(昭和 20 年) 2306 名
- 枕崎台風(昭和 20 年) 3756 名
- 福井地震(昭和 23 年) 3769 名
- 伊勢湾台風(昭和 34 年) 5098 名
- 阪神・淡路大震災(平成 7 年) 6436 名
となる [データ源:平成 17 年防災白書 (web)]。
この中で愛知県が関係しているのが、伊勢湾台風と三河地震と
2つもあることに注意しよう。愛知県は災害の多い県である。
ついでに他の災害とも比較してみよう。
- 自然災害:年 数100 人
- 火災:年 2000 人くらい [データ源:平成 17 年消防白書 (web)]
- 交通事故:年 8000 人くらい [データ源:平成 16 年警察白書 (web)]
- 自殺(災害ではないが):年 30000 人くらい [データ源 : web 上にいろいろ]
だから、死者数から見ると、自然災害よりもっと人を殺している災害はある。
ただ、自然災害の場合は、たとえば交通事故とは違って、1個所に集中し、
人的被害以外の被害も大きいので、単純には比較できない。とはいえ、
こんなに交通事故の被害者や自殺者を出す社会で良いのか?という疑問は
この数字を見るたびに湧き起こる感想ではある。
この講義では、時間の関係上、地震災害を中心に話す。自然災害の中では、
今や地震災害が最も死者数が多い。
7-2 地震の基礎知識
地震の基礎知識をまとめておこう。
[配布図]
[配布資料:地震の基礎知識補足]
地震とは、
(1) 何らかの原因(ふつうは断層運動)で局所的で急激な破壊が起こり
(2) それが地中を伝わる波として波源から遠くに伝わる
現象であって、とくに
(3) 波が地表に到達したとき、被害を及ぼす揺れとなる(とくにこれを地震動と呼ぶ)
注意することは、世間では (3) の意味で地震という言葉を使うことが多いのだが、
専門家は (1) の意味で使うことが多い。それで、意思疏通の齟齬を生じる場合がある。
もうちょっと説明を加えておく。
- 断層運動とは?:地中にある面ができて、その両側が面に平行に動くこと
[図:断層運動]
- 波とは?:P 波、S 波という種類がある。P 波は縦波、S 波は横波。
P 波 (primary wave) が先に到着し、S 波 (secondary wave) が後で到着する。
[図:弾性波]
震度とマグニチュードも世間では混同されやすい言葉なので丁寧に
説明をしておこう。 [配布したもの]
- マグニチュードは (1) の断層運動の大きさ
- 震度は (3) の地表での地震動の大きさ
マグニチュード M とエネルギー E(erg) の間の関係は、だいたい
log E = 11.8 + 1.5 M
となる。大事なことは、マグニチュードが 1 増えると、エネルギーは約 30 倍、
マグニチュードが 2 増えると、エネルギーが約 1000 倍になるということだ。
ただし、エネルギーを言われてもわかりにくいので、断層の長さと対応させる方が
大雑把にはわかりやすい。だいたい
M6 が 10 km
M7 が 30 km
M8 が 100 km
というのがひとつの目安だ。これは
静岡大学の小山先生の考え http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/Abstracts/godo00.html
だ。
地震の原因 (1) に関して更なる注釈を加えておく。
- (a) 地震の原因は断層運動には限らない。たとえば、マグマの運動で
マグマの通り道が壊れても地震が起こる。またたとえば、地すべりも
地震が起きる。また極端に言えば、ここで机をドンと叩いても、
ここで飛び跳ねても地震が起きるといえる。ただ大きさが小さいだけである。
要するに、急激な運動が起これば、波が発生するので地震だと言える。
とはいえ、被害を起こすような地震は断層運動が原因である。
- (b) 局所的といっても、地震を起こす断層の大きさは、大きいものでは
数 100 km におよぶものもある。断層の中で、破壊が始まる場所を「震源」
という。しかし、断層運動は、断層全体に伝わり、それ全体が地震の源となる。
その全体を「地震断層」とか「震源断層」とかいう。
- (c) 急激といっても、断層運動の起こり方には、いろいろな速さのものがあり、
非常にゆっくりしたもの(1週間とか1年とか)もあることがわかってきた。
こういった地震を「ゆっくり地震」という。こういった地震は、地震動は
小さい。しかし、地震動は小さいものの、中には津波を起こす力が
強いものがあり、そのようなものを「津波地震」という。
- (d) 地面を揺らすというだけなら、一過性のものでなくても、海の波が
地面をゆするとか、大気の運動が地面をゆすることもあり、
実際観測されている。これも広い意味では地震である。
結局、地震というのは「地面が揺れる」という定義しかないので、
いろいろなものがありうる。
ただ、被害という意味で重要なのは、急激な断層運動が原因となるものである。
以下、そういう地震に話を限る。
7-3 断層運動とプレートテクトニクス
参考書:石橋克彦「大地動乱の時代―地震学者は警告する―」(岩波新書)
ビデオ:中学校理科教材「地震と災害」
(ビデオ時間表)
[まず、上記ビデオを見る : 最初から 7:30 まで or 時間があれば 12:00 まで]
ビデオで見たように、断層運動による地震はプレートテクトニクスと密接な
かかわりがある。以下、重要な部分をまとめ直す。
[図:沈み込みといろいろな地震]
[図:震源分布図]
地震で重要なのは、日本のようにプレートが沈み込むところで起こる地震である。
これにはいくつかの種類がある。
- 海溝地震(プレート間地震):プレートが沈むときの相対運動で stick-slip
[DVD: Discovery Channel 地震 Chapter 3 の初めの方で、プレートの説明と
アラスカ地震の説明がある ;
日本語版ではマントルが液体と言っている誤りがある
ビデオ「地震と災害」を見ていれば、それで十分]
- 深さ数 10 km まで
- M8 クラスの大地震が起こる
- 繰り返し間隔が短い(100 年に1回程度)
- 日本での例:関東大震災 (1923) [M7.9]
- 超巨大地震はすべてこれ (1) チリ地震 (1960) [M9.5] (2) スマトラ地震
(2004) [M9.3 (9.0 としているものもある)]
(3) アラスカ地震 (1964) [M9.2] : ついでに言えば、
これらの地震はいずれも大きな津波を発生している。とくに
スマトラ地震は死者 30 万人以上。[チリ地震は、チリで死者 5700 人、
日本で 122 人:アラスカ地震は、死者 131 人(理科年表による)]
- 内陸地震:プレートが押していることで、大陸側の大地が割れる
- 深さ〜10km で一番起こりやすい。300 度より高くなると
岩石が柔らかくなって起こりにくい。
- M7 クラスの地震が起こる。震源が人がいる場所に近いので
大きな被害がある場合がある。
- 繰り返し間隔が長い(1000 年に1回程度)
- 日本での例1:阪神・淡路大震災 (1995) [MJ7.3, MW6.9]:最大級の被害
- 日本での例2:濃尾地震 (1891) [MJ8.0, MW7.4]:最大級の内陸地震
(愛知県でも大きな被害)
- 海外での例:唐山地震 (1976) [MS7.6]
地震時の死者数は公式発表で 24 万人余(地震の死者としては過去最高:
しかし、本当の死者数不明)
[DVD: Discovery Channerl 地震 Chapter 3 では、アラスカ地震の後に
説明がある](唐山は河北省にある:北京や天津より 100 km くらい東)
- プレート内地震:プレートが曲がるときの歪みでばっさり割れる (M7-8)
- やや深発地震:二重深発面 (60-300 km)
深発地震:遷移層近くの地震 (300-700 km) 沈み込むプレート内
- 破壊が起こるはずもないのに地震が起こっている。原因不明。
- 深いので被害は少ない。
7-4 日本の周りのプレート間地震とその規則性〜とくに東海・東南海・南海地震
[図:日本周辺のプレート]
海溝地震では M8 クラスの巨大地震が起こりうる。
[図:プレート間地震の図]
プレート間地震の特徴:セクター化された領域で規則的に起こっている
[図:駿河トラフ・南海トラフ沿いの地震 石橋 4-2]
駿河トラフ・南海トラフ沿いには 100 年おきくらいに規則的に地震が起こっている。
これが東海地震 (E)、東南海地震 (C,D)、南海地震 (A,B) と呼ばれているものである。
これらのものは同時に起きるときもあるし、短い間隔で次々に起こることもある。
ここで起こる地震はわれわれ東海地方の住民にも大きな関わりがある。
(注)「東海地震」の用語に関して。狭い意味では E で起こる地震のことを
東海地震という。しかし、広い意味では C+D+E のものも東海地震と呼ぶ。
たとえば安政東海地震と言うときは C+D+E で起こった地震のことである。
次の東南海・南海地震はいつ起こるか? 平均的には百数十年間隔。すると、
21 世紀後半。しかし、昭和の東南海・南海地震が小さかったので、次は早いという
考え方もあり、21 世紀前半を予測する人も多い(そういうモデルだと
2015 年くらい)。いずれ、21 世紀中には起こるだろう。
切迫しているわけではないが、都市計画は早めに立てておく必要あり。
いわゆる東海地震説の根拠と現状:東海地震説の根拠となったのは、当時の記録を
調べることで前の東南海地震のときに E 領域がすべっておらず残って
いることがわかったということである。そこで、その残っている部分が
単独で地震を起こすのではないかと考えられた。しかし、現在では
すべり残すことも時々起こるらしいことがわかってきたし、単独の東海地震は
ないのではないかと思っている人も多い(でも本当はわからない)。
そこで、次は東南海地震と一緒に起こると思っている人が多い。
東海地震説が出た当時は、むしろ遠州灘の方が警戒されていて、
駿河湾は大きな被害を及ぼす可能性があるにもかかわらず警戒が薄かった、
ということがあって、それに警戒をうながす意味もあった。
参考:以下の Q&A
7-5 日本の内陸地震と活断層
内陸地震は、大きいものでふつうは M7 クラスである。海溝地震より
一回り小さいが、震源が陸の真下なので被害が大きくなる。
例:兵庫県南部地震 (1995; MJ7.2, MW6.9)
例外的に大きいもの:濃尾地震 (1891; MJ8.0, MW7.4)
←中部地方は巨大内陸地震が起こりうる
(上記マグニチュードの出典:
Suppl.7-5-1)
M7 クラスの地震は予知は困難とされている(M8 クラスでもどうかわからない)
海溝地震の周期性に連動して、内陸地震の活動には周期性があるようだ:「大地動乱の時代」
海溝地震の前、周期の 1/2〜1/3、後数〜10年くらいが活動期
- 西南日本では [図:尾池 なゐふる oike_fig2.jpg]
- 駿河トラフ・南海トラフ沿いの地震と関連した活動周期がある
- 海溝地震の前 50 年、後 10 年くらいが活動期
- 21 世紀前半は活動期であろうと予想される
(兵庫県南部地震から次の東海南海地震まで)
- 南関東では [図:茂木 8-9]
? | -- 1703 元禄関東大地震 |
の ?0 年間は地震が頻発 |
1853 嘉永小田原地震 | -- 1923 大正関東大地震 |
の 70 年間は地震が頻発 |
- 海溝地震の前 70 年、後数年くらいが活動期
- 南関東の次の活動期がいつ始まるかはわからない。
まだ始まってはいないようである。
[黒板図:海溝地震と内陸地震の関係の説明]
活動期と静穏期がある理由の説明はできる。海溝と内陸地震の断層の
幾何学的な関係によって、海溝地震が起きたときにより歪みが増える
断層と減る断層がある。
- type 1 : 海溝地震によって歪みが減る断層の場合、海溝地震の前が活動期になる
- type 2 : 海溝地震によって歪みが増える断層の場合、海溝地震の後が活動期になる
内陸地震と関連して、防災のひとつの手がかりは活断層である。
- 活断層の定義:過去 100 万年程度以内に動いたことがあると見られる断層で、
地表にその痕跡があるもの
- このような新しい断層は、将来も動きうる。つまり、地震の震源断層に
なる可能性があることを示している。
- (注)ただし、すべての地震が活断層でおこるわけではない。
地震は深さ 10 km くらいで起こりやすいので、地震の震源断層が
地表に達しないこともある(例:兵庫県南部地震の神戸側)
[図:中部地方の最近の地殻変動]
[図:新潟・神戸歪集中帯と活断層分布]
私たちが住んでいる中部地方を中心に、地殻変動と活断層の大局的な様相を見てゆこう。
それによって、中部地方で起こる地震を理解しよう。
まず、GPS を使った地殻変動の図を見てみると、中部地方は東西に押されていることがわかる。
これは、本州が東から太平洋プレートに押されていることが原因である(or アムールプレートの東進)。
とくに、新潟から近畿地方にかけての歪み方が大きい。このことは、今名古屋大学にいる鷺谷先生が
国土地理院にいたときに発見した。そのひずみが大きい帯のことを、「新潟・神戸歪集中帯」と
名付けた。歪が集中する理由はよくわかっていない。最近起こった大きい地震のいくつかは
ここで起こった。1995 年の兵庫県南部地震、2004 年の新潟県中越地震、2007 年の新潟県中越沖地震が
そうである。そのため、新聞などによる報道でも「新潟・神戸歪集中帯」という言葉がしばしば
登場するようになった。
[図:主要活断層の評価結果]
中部〜近畿地方の活断層分布を見てみよう。まず、この地方は日本の中でも活断層が多いことに注意しよう。
中部〜近畿は内陸地震が起こる可能性が高い地域である。
中部〜近畿地方は東西に押されているために、
中央構造線より北では東西押しの横ずれ断層が卓越する。
海溝で起こるプレート間地震としては、すでに解説したように、東海・東南海・南海地震が
百年に一度程度起こる。なお、この図には、地震が起こる確率が書かれているが、これは
目安に過ぎないので、あまり気にしない方が良い。このような数字は、防災対策の優先度を考える上では
役に立つが、10 % 以下だから安心だとかいうようなことを意味しているわけではない。
[以下話が細かいので省略
中央構造線:日本最大の横ずれ断層
中央構造線より南:北西-南東押しの断層(フィリピン海プレートの影響)]
[前にビデオ「地震と災害」を見ている場合は、根尾谷の話がすでに出ているので不要]
[写真:根尾谷断層観察館 gake2[1].jpg, DSCF0200.JPG]
活断層を見たければ根尾谷断層観察館に行ってみよう:濃尾地震の跡が見られる
参考:以下の Q&A
7-6 地震防災
ビデオ:東海テレビ (2006/01/15) 巨大地震!これだけの危険 東海地震被害予測
名大工学部の福和先生出演:福和先生のおかげで良い番組になっている
(ビデオ時間表)
地震防災のポイント
地震による死者は主に (1) 建物の倒壊や家具の転倒による圧死
(2) 建物の火災 (3) 津波が原因で発生する。
この点は、風水害や火山災害とは異なる。
[DVD: Discovery Channel 地震 Chapter 5 では、火災、津波、建物の被害の話を
している]
[適宜ビデオを用いる]
- (1) 建物の倒壊と家具の転倒
- 地震災害は建物があるから起こる。
野原で津波の来ないようなところで大地震に遭遇しても何も被害は無いだろう。
とくに兵庫県南部地震で建物崩壊の重要性が再認識された。
死因の8割は家屋の倒壊や家具転倒による圧死だった。死者の7割が即死。
[情報源:工学部福和先生講義録]
- (2) 火災
- とくに関東大震災の時の東京での死者の大部分が火災であったということで、
火災の重要性が昔から日本では強調されている。ただし、建物が倒壊せず
家具が転倒していなければ、火災の発生はだいぶん減るし、逃げることも
出来る可能性が高まる。したがって (1) が何より重要。関東大震災は特殊で、
東京はそんなに揺れなかったにも関わらず、人工密集地帯の火災であったため、
大惨事になった。
- (3) 津波
- 一昨年のスマトラ地震津波(死者 < 30万人)で重要性が改めて
クローズアップされた。津波が起きそうだったらすぐに高いところに
逃げるべし。津波は普通の波より波長が長いので、波というよりは
流れに近いものだと認識すべし。[ビデオ参照]
そこで地震防災で重要なことは次の点に集約される。
- (1-1) 建物を丈夫に(あるいは免震)すること
- 建築費を1割くらい増やしただけで、強度をかなり up できる。
- (1-2) 家具が倒れてこないようにすること
- [そう言いながら、自分ではあまりできていない]
- (1-3) 地盤が固い場所に住むこと
- 一般的には、かつて、海だったり谷だったり池だったりするところは地盤が軟弱。
地形、昔の地図や写真、地名などから判断できる。
名古屋周辺では、堀川より西の低地は危険(かつては低湿地か海)。
名大付近は丘陵で比較的地盤は良い方だが、部分的には、たとえば
「鏡池」は昔もっと大きかった池を埋めてあるので周辺は地盤が弱い。
- (1-4) 活断層直上に建物を建てない
- 活断層がどこにあるかの細かい位置も、現在では簡単に知ることができる。
以下のような地図を見れば、活断層の位置を非常に詳細に
(誰の家の下を通っているかまで!)知ることができる。
- 活断層デジタルマップ(東大出版会)
- 都市圏活断層図(国土地理院)
しかし、実際はすでに建っているものも多い。
- (3-1) 津波が来そうだったらすぐに高いところに逃げる
- (3-2) 津波危険地域にはできれば住まない
地震防災で何をしておいたら良いかが専門家にもまだ十分には理解されていない
側面もある。その証拠に、地震が起きるたびに新しい課題が認識される。たとえば、
兵庫県南部地震では
- 高速道路が倒れることがわかった
- 新幹線の線路が壊れることがわかった
- 震災の帯が地盤と断層形状の影響でできることがわかった
- 地域での救助の重要性がわかった
新しい地震防災の方法:早期検知システム
P 波を検知して、いち早く連絡
新幹線で早くから取り組まれている
[DVD: Discovery Channel 地震 Chapter 9 で早期警報の話がある]
地震制御の可能性 [時間があれば]
多少荒唐無稽だが、もう少しアクティブに地震災害を減らすことを
考えても良い時代になっているかもしれない。それは、
地震を人工的に誘発することで、大災害を防ぐという事だ。
考えられることとしては、
- (1) 小さい地震をたくさん起こす。
- マグニチュードが 2 違うとエネルギーが 1000 倍違うので、
マグニチュード 7 の地震のエネルギーを消費しようと思ったら、
マグニチュード 5 の地震を 1000 回起こさないといけない。
なので、けっこうたいへんではある。しかし、1000 年に 1 回の地震なら
年 1 回のマグニチュード 5 の地震で済む。ただ、毎回毎回
同じ大きさの地震を起こすことができるとは思えない。
- (2) ゆっくり地震を起こす。
- 断層面の性質をすべりやすくして、断層面をゆっくりすべらせる。
ただ、具体的にどうしてよいのかよくわからない。
- (3) 予め避難しておいて、大きな地震を起こす。
- たとえば、断層面に大量に水を注入すると可能かもしれない。
確率が低いことへの対処
地震防災の難しさのひとつの原因は次のことである。
確率は低いが、起こったら重大な影響をもたらすものへの対処
[雑談] 確率の不思議
あなたはどういうわけか友達から次のような賭けをもちかけられた。
あなたは、まずある賭け金を友達に払う。その後、コインを投げ続ける。
表が出続けたら 2 円、4 円、8 円、…と友達から金をもらえる。
裏が出た時点でこの賭けは終わりになる。
問題:最初の賭け金がいくら以下なら、あなたはこの賭けに参加する気になるか?
期待値を計算すると 2x(1/2)+4x(1/4)+8x(1/8)+ ... = ∞!
確率は少ないが、起こったら莫大な金が必要となるという問題である。