生物の分類と名前と進化
- 2003/02/24
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- 2006/08/31
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動物
動物分類全般にわたって参考になるページ
動物界(各論)
旧口(前口)動物は、大きく「脱皮動物群」と「冠輪動物群」に
分類されるという考えが、近年の分子系統学の結果からポピュラーになってきた。
「脱皮動物群」は、脱皮するという性質が共通である。
「冠輪動物群」は、発生初期にトロコフォアと呼ばれる幼生段階を持つ。
[参考:鈴木忠(2006) 「クマムシ?!」(岩波科学ライブラリー 122)]
緩歩動物門 (Tardigrada)
日本語では、総称して「クマムシ」と呼ぶ。英語名は water bear である。
5つの体節性を示し、腹側の神経系を持つ。関節のない四対の肢の先には
爪あるいは吸盤状の指がある。現在 1000 種くらいが見つかっている。
次の3つの綱がある。
- 異クマムシ綱 Heterotardigrada:さまざまなヒゲや突起がある。海のクマムシはほとんどがこれ。
- 真クマムシ綱 Eutardigrada:ヒゲや突起が少ない。ほとんどが陸上か淡水に棲む。
- 中クマムシ綱:1種のみ。
しかも、最初に記載されてその後確認されていないので、
存在しないかもしれない。
参考:
(1) [本] 鈴木忠 (2006)「クマムシ?!」(岩波科学ライブラリー 122)
(2) [web page] Tardigrades (Tardigrada) imeges, video clips, text and monthly magazine
(3) [web page] 高知大学キャンパス内のクマムシ
(4) [web page] Site CXJ11255 やたらくわしい分類が書いてある
(5) [web page] クマムシゲノムプロジェクト ただし、上の (1) によると、実際こういうプロジェクトがあるわけではない (p.100)。とはいえ、現在クマムシの遺伝子研究が進んできていることは確かとのこと。
軟体動物門
大きく言えば、7つの綱がある。
- 無板綱 Aplacophora:体は細長く、殻は退化している。ケハダウミヒモ、カセミミズなど。
- 多板綱 Polyplacophora:ヒザラガイのなかま。「ヒザラ=膝皿」で、
人の膝に姿が似ていることから付けられた名前。
- 単板綱 Monoplacophora:ネオピリナのなかま。殻は円錐形で足が発達している。
現在は深海にのみ生息。古生代からほとんど形態が変化していない
「生きている化石」。
- 腹足綱 Gastropoda:「巻貝」のこと。
ただし、カサガイのように殻が巻いていないものもあるし、
ウミウシやアメフラシのように、殻が小さいか無くなっているものもある。
- 斧足綱 Pelecypoda (二枚貝綱 Bivalvia):「二枚貝」のこと。
体の左右に殻がある。
- 堀足綱 Scaphopoda:ツノガイのなかま。
- 頭足綱 Cephalopoda:イカやタコやオウムガイのなかま。
深海に棲む貝
深海に棲息する貝類の説明としては web page 「
深海性貝類図鑑 (橿原水族館)」がけっこう詳しい。二枚貝で
有名なのは Vesicomyidae(オトヒメハマグリ科)の Calyptogena(シロウリガイ属)や
Mytilidae(イガイ科)の Bathymodiolus(シンカイヒバリガイ属)の貝。
参考:
(1) [本] 佐藤武宏・松島義章著「ミュージアムブックレット3
貝からの伝言」(神奈川県立生命の星・地球博物館)
(2) [web page]
Wikipedia「軟体動物」
(3) [web page] 貝の博物誌 by 東京大学総合研究博物館
環形動物門 (Annelida)
- polychaete(s) [poliki:t] 多毛類
- 環形動物門 (Annelida) 多毛綱 (polychaeta): ゴカイなど
節足動物門
- ヨコエビ類 (amphipods, lawn shrimp)
- 節足動物門 甲殻綱 難甲亜綱 フクロエビ上目
端脚目 (Amphipoda) ヨコエビ亜目 (Gammaridea)
甲殻類の1種で体長はせいぜい数 cm。エビを横から押し潰したような
扁平な形をしている。
学名の由来:胸部の付属肢が7対あり、そのうち前の4対が前方に向き、
後ろの3対が後方に向いて、「両方の端」に分かれていることから。
前の4対のうちの先端側の2対は、形態が異なり、咬脚と呼ばれる。
和名の由来:平坦なところでは横になって動く。
ヨコエビ類はフクロエビ上目に含まれている。フクロエビ上目の動物では、
卵がメスの育児嚢の中で発生し、親と似た形で孵化する。
フクロエビ上目の他の動物は、腹肢が5対あるが、ヨコエビでは3対しかなく、
3対の尾肢がある。
バイカル湖には固有種がたくさんいて、生態も多様。しかし、分類の仕方は
研究者によって様々で、決定版がない。
参考:森野浩 (1994) 多様なヨコエビ類をめぐって in 「バイカル湖」
(森野浩・宮崎信之編、東大出版会)
脊索動物門
脊椎動物の進化
- カジカ類
- カサゴ目 (Scorpaeniformes) カジカ亜目 (Cottoidei) の魚。
カジカ亜目は 600 種以上の魚種が含まれる大分類群で、
海水・淡水に広く分布する。
カジカ亜目の特徴は、鰾(うきぶくろ)がないことである。
形態は、大型のものから小型のものまで多様。
カジカ亜目はさらにカジカ上科 (Cottoidea) と
ダンゴウオ上科 (Cyclopteroidea) とに分かれる。
カジカ上科の魚はほとんど底生生活者で、ダンゴウオ上科の魚は水中を漂う。
参考1:矢部衛 (1993) 共通祖先から2グループに進化━カジカ類
in 「動物たちの地球」94号, Vol.4, 296-299.
参考2:後藤晃 (1994) 世界の淡水カジカ類とバイカル・カジカ
in 「バイカル湖」(森野浩・宮崎信之編、東大出版会)
古細菌
古細菌は Archaea domain。この中には、Crenarchaeota と
Euryarchaeota の2界がある。知られている種は、Euryarchaeota の方が
圧倒的に多い。
Euryarchaeota
Thermococcales, Methanococcales など、熱水環境を代表する目を含む。
Thermococcales
Euryarchaeota 界の中で、熱水環境で代表的な目が
Thermococcales(テルモコックス目)。これは、
Thermococcaceae(テルモコックス科)から成り、これには
Thermococcus と Pyrococcus の2属ががある。
Crenarchaeota
熱水環境では、とくに diffuse-flow vent fluids の中で目立つ。
非常に多様な環境で棲息する種を含んでいる。