希土類元素

last update: 2005/06/09
希土類元素の利用の仕方は何通りかある

価数のちがいの利用

希土類元素は通常 3 価だが、Ce は 4 価に、Eu は 2価になることがある (Yb も非常に還元的な条件では 2 価になることがある)。それらは たとえば以下のように利用される。

Ce

Ce は酸化的環境では 4 価になる。現在の海は酸化的なので、4 価になって 沈澱しやすい。沈澱は、たとえば河口付近で Mn 酸化物になどに吸着することで 起っている。そのため海洋の Ce は負の異常を示し、海洋堆積物もそれに伴って Ce の負の異常を示す。そのことを利用して、地球史のなかで表層環境が いつから酸化的になったのかを調べようとする研究がある。 (参考:放射性同位体

海底熱水循環では、酸化的な地殻に Ce を取られて、噴出する熱水はさらに 大きな負の Ce 異常を示すようになる。

Eu

Eu は還元的環境下では 2 価になり、Sr と似た挙動をするようになる。 そのため斜長石に多く入る。

情報源

[poster session] 林隆正(名大 DC3) at COE-DC 選考ポスター発表会(2005/04/25) 名古屋大学環境総合館玄関ホール

[講演] 林隆正(名大 DC3)「地球の大気が酸素(O2)に富むようになった のはいつか?」 at SELIS 横断セミナー (2005/06/09) 名古屋大学環境総合館講義室2

[web page] Earth System Science II by W.R. Church at the University of Western Ontario

[本] 増田彰正 (1979) 岩波講座地球科学4「地球の物質科学III 岩石・鉱物の地球化学」第7章 希土類元素から見た火成岩の多様性