日本を救うC層の研究

著者適菜 収
発行所講談社
電子書籍
電子書籍刊行2013/08/01
電子書籍底本刊行2013/07 講談社刊
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読了2017/05/24

以前の『日本をダメにしたB層の研究』と基本的には同じ主張の展開である。 著者の「B 層」本を既に読んでいるので、スラスラと数時間で読めてしまった。 すなわち、西洋近代の平等思想や民主主義はダメで、分をわきまえて専門家を大事にしつつ議会主義を守ることが大切であると説いている。 保守の大切さ、「改革」の誤りを指摘し、橋下徹に反保守の典型を見るという点では藤井聡とも共通している。

タイトルの「C 層」とは、自民党が2004年に広告会社に作らせた企画書にある概念で、「構造改革に否定的で、かつIQが高い層」のことだそうな。要するに本来の意味における保守である。

ところで、引用されている三島由紀夫「わが古典」で、古典の代表としてまず古今集を挙げてあるのが興味深い。万葉でも新古今でもなく古今というのは、私もそういう感じがしている。万葉は無骨すぎるし、新古今は洗練を通り越してひねくれている(三島の言い方ではデカダンス)。平和な時代の平安期の感性が日本人の感性の土台を作っているように思う。

歌奉れとおほせられし時によみて奉れる
桜花咲きにけらしもあしひきの山のかひより見ゆる白雲(紀貫之)
卯月に咲ける桜を見てよめる
あはれてふことをあまたにやらじとや春におくれてひとり咲くらむ(紀利貞)