「100分でde名著」夏休み特集で、10代の少年少女のための本の紹介という趣向。1回ずつ別々の講師がそれぞれ1冊ずつ名著を紹介する。 私はどれも読んだことがあり、とくにローレンツの『ソロモンの指輪』はかつての愛読書である。 放送も深く読み込むというよりは、簡単な紹介になっているので、以下もサマリーというよりは感想文に近いものにする。
著者 | ヤマザキマリ・瀬名秀明・若松英輔・木ノ下裕一 |
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シリーズ | NHK 100分de名著 2018 年 8 月 |
発行所 | NHK 出版 |
電子書籍 | |
刊行 | 2018/08/01(発売:2018/07/25) |
入手 | 電子書籍書店 honto で購入 |
読了 | 2019/04/01 |
「100分でde名著」夏休み特集で、10代の少年少女のための本の紹介という趣向。1回ずつ別々の講師がそれぞれ1冊ずつ名著を紹介する。 私はどれも読んだことがあり、とくにローレンツの『ソロモンの指輪』はかつての愛読書である。 放送も深く読み込むというよりは、簡単な紹介になっているので、以下もサマリーというよりは感想文に近いものにする。
言わずと知れた『星の王子様』で、この番組でもかつて取り上げられた。 今回も「想像力」をキーワードとして取り上げられた。
それはそれとして、今回の解説で驚いたのは、解説者のヤマザキマリの育てられ方である。 母親はヴィオラ奏者で、父親が早く亡くなったので、母親一人に育てられたそうである。 ヤマザキマリが絵描きになりたいといって周囲の人から discourage されていた14歳の時に、 母親はヨーロッパに行って来いと言って、一人で旅に行かせたのだそうな。すごい母親である。
そのことと『星の王子様』との関係は、『星の王子様』はヤマザキマリの愛読書というだけでなく、 母親の愛読書でもあったそうである。
『ソロモンの指輪』は、私が学生の頃の愛読書の一つである。動物への愛情と深い洞察に溢れている素晴らしい本であった。
瀬名秀明が指南役。
指南役は「100 分 de 名著」にもたびたび登場している若松英輔。いつもながら、最後には自分で書くことを勧めている。 この場合は、たとえば、メロスの妹から見たメロスを書いてみてはどうか、とのこと。
登場人物:メロスは若い牧人。セリヌンティウスは石工で、メロスの刎頚の友。ディオニスは暴君。 若松「登場人物みんなが自分の心の中のある部分だと考えよう。」
指南役の若松英輔は、主人公は王だと考える。なぜなら、王が物語の中で最も大きく変わるから。 王は、人が信じられなくなっている。なぜそうなったのかをよく考えよう。 最後には、メロスとセリヌンティウスの命を懸けた信頼を目の当たりにして、ふたたび人間を信じられるようになる。
短編なので、読み直してしまった。
木ノ下裕一が紹介。木ノ下「一言で言えば、百人一首は定家が編纂したベストアルバム。」
for teens で十代の子供に紹介するとき、恋の歌をどうするのかと思っていたが、放送では避けてあった。テキストでは少し扱っている。
最初に取り上げられているのは蟬丸である。
これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
木ノ下「いろいろな人が行き交う世の中。仲良くならない人がいても良いとも読めるし、一期一会を大事にしようとも読める。」
放送で取り上げられたのは、ほかに:
天つ風 雲の通ひ路 吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
心あてに 折らばや折らむ 初霜の 置きまどはせる 白菊の花
長らへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ 今は恋しき
世の中は 常にもがもな 渚漕ぐ あまの小舟の 綱手かなしも