河合塾講師が書いたやさしい経済の本ということで、たしかに高校参考書っぽい。1つの項目に付き イラストが1ページと文章が2ページという構成で、ニュースに出てくるような経済全般の説明がしてある。 アベノミクスやらブレグジットやらの時事的なことがらも含んでいる。最近アベノミクスの破綻が 明らかになるにつれ、経済の基本をざっと見てみたいと思って読んだ。
本書が出版されたのは、第4次安倍内閣の最中である。著者は、アベノミクスの成果については否定的である。 ただし、これまで読んだアベノミクスに否定的な本( 白井、明石)とは少し違って、 第三の矢の規制緩和が進まなかったことを最大の問題と位置付けている(pp.206--208)。著者は、規制緩和が進むと 生産性が上がって、労働力不足が改善するだろうとしている。私にはそんな単純なことだとは思えないけれど。