名探偵コナン ピアノソナタ「月光」特集

著者青山 剛昌
シリーズ少年サンデーコミックス
発行所小学館
電子書籍
掲載時期2021/03/06--2021/03/19(公式アプリ)
入手名探偵コナン公式アプリ
読了2021/03/19

『ピアノソナタ「月光」殺人事件』がテレビアニメ放送 1000 回を記念して放映されたということで、 スマホアプリ「名探偵コナン」に掲載された音楽エピソード特集。 全てすでに読んでいるので、音楽が出てくるところを中心にまとめておく。

事件のサマリー

事件名Files以前の読書録音楽関連事項のまとめ
7ピアノソナタ「月光」殺人事件 2 月影島への招待状、3 ピアノの呪い、4 残された楽譜、5 業火の秘密、6 血染めのボタン、7 名前の秘密‼
  • 検定(概要、犯人の死、コナンの絶対音感)

3件の連続殺人の背後でベートーベンのピアノソナタ第14番「月光」の各楽章が流れる。 第1番目の川島英夫殺しの時は第1楽章である。これが第1楽章かどうかは、アニメだと音が流れるからすぐにわかるのだが、 漫画版だとすぐにはわからない。楽譜が出てきて、それを良く見るとそうだとわかる。 次の黒岩辰次殺しの時は第2楽章である。これは、漫画では蘭の心の中の台詞として「「月光」の第二楽章‼」と書かれていることからわかる。 最後の西本健殺しの時は第3楽章である。これは、漫画ではそばにあったカセットテープを目暮警部が聴いて 「西本は遠ざかる意識の中で聞いていたんだろう…この「月光」の第三楽章を」と言っていることからわかる。

殺人現場にある楽譜が暗号になっている。法則は割と簡単で、半音ごとの音の高さとアルファベットを対応させる というものである。一番下のラの音が A、ラ♯(シ♭)が B、シが C という具合だ。1オクターブの間に 12 音あるから、 B の2オクターブ上の音が Z になる。そこで、2オクターブと半音ですべてのアルファベットが表現できる。 あとはそのアルファベットをローマ字として読むだけだ。すると、 第1の事件のときにあった暗号(4段ある楽譜のうち、上3段は「月光」の譜面で下の1段が暗号)は 「わかってるな、次はお前の晩だ」、第2の事件の時にあった暗号(床に血で書かれている)は 「業火の怨念ここに晴らせり」となる。第3の事件の時は遺書だった。遺書の内容は紹介されているが、 具体的な文面は示されていない。これらの楽譜は、もともと良く見ると変で、音符が縦に揃っている場所がない。 それで、一音が一文字に対応していると考えておかしくはない。

そして、最後に犯人の麻生成実がコナンに向けて弾いていた音の並びは、その暗号で「ありがとな、ちいさなたんていさん」だった。

46ストラディバリウスの不協和音 [前奏曲/間奏曲/後奏曲] 2 前奏曲(プレリュード)、3 狂想曲(カプリッチョ)、4 鎮魂曲(レクイエム)、5 即興曲(アンプロンプテュ)、6 幻想曲(ファンタジア)

まず、音楽家の設楽家の家系についてまとめておく。設楽家はほとんどの人がバイオリンを弾く。

┌─設楽調一朗(ストラディバリウスの持ち主)
│   ║──降人(昨年ベランダの手すりごと転落死)──蓮希(事件の依頼者)
│  絢音
├─設楽弾二朗(30年くらい前強盗に襲われて死亡)
│   ║──羽賀響輔(作曲家)
│  千波(弾二朗の看病で過労が祟って病死)
└─設楽弦三朗(指揮者、第一の被害者、別館火災で死亡)
    ║
   詠美(一昨年階段を踏み外して死亡)

死者の頭文字が CDEFGA と音階の順番になっている。 C = 千波、D = 弾二朗、E = 詠美、F = 降人、G = 弦三朗、A = 絢音。次の H = 羽賀響輔 の自殺が コナンによって阻止される。最後に C = 調一朗は肺を患っているので余命は半年。 そのほかに、音名に関係がある者として H = 蓮希、B = 紅生(執事の津曲紅生)がいるが、彼女らは死なない。

登場する曲は、モーツァルトのレクイエム K.626 である。もともとオーケストラと合唱のための曲だが、 この物語では、羽賀響輔によるバイオリン独奏ということになっている。どの部分を演奏しているかは不明。

黒の組織話に関係して、0858 のプッシュ音が何の音かをコナンが羽賀響輔に尋ねる。それは音名で言えば HAGA、それで始まる曲は「七つの子」だと羽賀が答える。

69, 70日記が奏でる秘密10 G線上のアリア、11 天才、1 日記の秘密

出てくる曲は「G線上のアリア」である。元はヨハン・セバスティアン・バッハの「管弦楽組曲第3番二長調」(18 世紀の作品)の 第2曲「アリア」で、それを 1871 年に August Wilhelmj がバイオリンとピアノのために編曲したもの。 本エピソードで出てくるのはピアノ独奏版である。ピアノ独奏版もたくさんあるようで、ネット検索すると、 Alexander Siloti によるものが多く引っかかるが、そのほかにもいろいろあるようである。

最後にひとことだけ、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」が話題に上る。