名探偵コナン 沖矢昴特集 Revival

著者青山 剛昌
シリーズ少年サンデーコミックス
発行所小学館
電子書籍
掲載時期2002/04/08--2020/05/04(公式アプリ)
入手名探偵コナン公式アプリ
読了2020/04/27

スマホアプリ「名探偵コナン」で、劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』公開を盛り上げるための特集第2弾として 沖矢昴(赤井秀一の変装した姿)の特集。映画の公開が延期されても、とりあえず特集はやるようだ。

事件のサマリー

事件名Files登場人物事件の概要 or 関連事項沖矢昴の動向
60赤白黄色と探偵団/W暗号ミステリー3 赤白黄色、4 クロシロ君、5 新たな隣人
  • 杉浦開人:1年A組の小学生
  • 弓長警部:放火担当
  • 細井竜平:大工
  • 沖矢昴:大学院生
  • 真壁吟也:フリーター

概要はすでに書いたので、 ここでは引用されているホームズの小説についてまとめる。

ここで引用されているのは、『ぶな屋敷 (The Adventures of the Copper Beeches)』で、原文は Wikisource で見ることができる。

My dear Watson, you as a medical man are continually gaining light as to the tendencies of a child by the study of the parents. Don't you see that the converse is equally valid. I have frequently gained my first real insight into the character of parents by studying their children. This child's disposition is abnormally cruel, merely for cruelty's sake, and whether he derives this from his smiling father, as I should suspect, or from his mother, it bodes evil for the poor girl who is in their power.

もともとは、子供の性格から親の性格を推測できるということだが、コナンは少しその意味を捻じ曲げて、子供が書いたものも 事件解決の重要なヒントになると言っている。

沖矢昴が初登場。ここでは沖矢が赤井秀一の変装であるということは読者に明らかにはされていない。 しかし、コナンはたぶん知っているはずである。

沖矢は工学部の大学院生という設定。この事件でアパートが焼けたので、コナンは彼を工藤邸に住まわせることにする。 灰原は反対するが、コナンは「ホームズファンに悪い人はいないから…」と言って、灰原に呆れられる。 本当は、コナンは、沖矢が赤井秀一の変装だと知っているから、安心しているのである。

61推理対決!新一vs.沖矢昴8 紙飛行機、9 メッセージ、10 レスキュー
  • 代田(だいた)育雄:造船会社社長

以前、概要は書いたので、 被害者の苗字「代田」について少しだけ。

「代田」の読みは「だいた」「しろた」が代表的である。東京に住んでいる人なら「だいた」の方を採用してしまうかもしれない。 なぜなら、世田谷区に「だいた」という地名があるからである。鉄道の駅名として「世田谷代田」(小田急線小田原線)、 「新代田」(京王井の頭線)、「代田橋」(京王京王線)がある。このうち「代田橋」は不思議な駅名で、現在そのような橋はない。 Wikipedia によれば、かつて玉川上水にその名前の橋がかかっていたそうな。

沖矢昴、三度目の登場(二度目は『憎しみの青い火花』)。

蘭と園子が工藤新一邸の掃除に行くと、見知らぬ沖矢昴がいる。怪しい奴ということで蘭が蹴りを食らわすと、 見事に受け流す。そのとき、コナンから携帯電話に連絡があり、沖矢が怪しい人間ではないと伝える。 沖矢の推理が鋭いので、園子と蘭は、工藤新一と沖矢昴に推理対決をさせる。二人の推理は、 最初から最後までほぼ同じペースで進む。

64魚が消える一角岩1 一角岩、2 サバ・コイ・タイ・ヒラメ、3 殺気
  • 大戸六輔
  • 青里周平
  • 開田康次
  • 赤峰光里:金融会社社長令嬢

概要はすでに書いたので、 ここではレギュレーターについてまとめる。

レギュレーターは regulator だから何かのレベルを調整するものである。ここで出てくるダイビングの場合は、 呼吸ガスの圧力を調整する機械である。高圧のガスを減圧して供給する役割を果たしている。

このエピソードでは、死んだ赤峰のそばにあったレギュレーターの口に彼女の口紅が付いていないことから、 コナンはこれが何者かによってすり替えられたものだと推理する。

海釣りにでかけた少年探偵団を、沖矢昴が阿笠博士の代わりに迎えに来る。 灰原は、まだ沖矢のことを黒の組織の一員かもしれないと思っている。

またしても、沖矢とコナンの推理はほぼシンクロして進む。推理の披露も二人で交代で行われる。

最後に、犯人に刃物を突き付けられたとき、沖矢は一瞬の早業でそれを叩き落す。

67黒き13の暗示[サジェスト]/迫る黒の期限[タイムリミット]/赤く揺れる照準[ターゲット] 4 危険なエリア、5 赤と13の暗示、6 爆弾犯の狙い、7 吹雪の中の真実、8 静かなる戦い
  • 爆弾男
  • 瀬田(旧姓丸岡)麻衣:デパートのレジ係

概要はすでに書いたので、 ここでは、赤井秀一似の火傷跡のある男(安室透の変装)の動きについてまとめる。

赤井似の男は、トイレでキャメルに姿を見せたり、ジョディに「逃げろ、このエリアは危険だ」 というメッセージを残したりして、動揺を誘う。その後、なぜか爆弾男騒動が起きているフロアに出現する。 爆弾男事件の的確な推理の内容を小五郎に匿名のメールで送ったのは彼らしい。 キャンティが自分を狙撃しようとしていたことも知っていたらしい。

沖矢は、なぜかデパートの爆弾男騒動が起きているフロアにいる。赤井似の男を追っていたようだ。 赤いアンダーウエアの暗号からコナンが雪山遭難事件との関連に気づいたのとほぼ同時に、沖矢もその関連に気付く。 沖矢は、キャンティがデパートの出口から赤井似の男が出てくるのを狙っていることにも気付く。 爆弾男事件が解決した後、ジョディが赤井似の男を走って追っているのにわざとぶつかって、ジョディを止める。

77工藤優作の未解決事件[コールド・ケース]6 工藤優作の未解決事件[コールド・ケース]、7 金一君、8 コナン君だよね?
  • 高市勲:道で倒れて死んでいた男
  • 郡山武文:保育園の園長、10年前に金魚鉢の破片が心臓に刺さって死んだ
  • 西村亮佑:10年前に郡山の遺体を発見した園児

10年前、死体の捜査に関わっていた工藤優作が、そばに「死」という血文字があったにもかかわらず、 これは殺人ではないと言い切った事件があった。

さて、蘭・世良・園子が街を歩いていると、高市という男が死んでいた。アル中のおじさんが肝硬変で死んだかにも見えたが、 近くに「死」の血文字があった。10年前とそっくりだった。そこで、3人は10年前の写真を工藤新一の家で探すことにした。 3人が工藤新一の家に行くと、コナンがいて、写真を探し当ててくれた。文字はまさにそっくりだった。

コナンは、沖矢の「霧隠才蔵」という言葉から真田六文銭を連想して謎を解く。「死」の字は、たまたま 小銭とタバコが落ちた上に血が垂れてきてそう見えただけだった。10年前のほうは、六文銭代わりに亮佑君が 置いた穴空きドロップと指の上に血が垂れてきて「死」の文字に見えたのだった。

死んだ高市から金目のものを盗んだ窃盗犯3人組が事件現場の物陰から蘭・世良・園子・コナンの様子を見ている。 蘭たちはその3人組に襲われるが、逆に返り討ちにする。

蘭・世良・園子が工藤新一の家に行くと、沖矢昴がいた。沖矢も推理に加わる。

蘭が工藤新一に電話で相談するというので、沖矢は「新一は霧隠才蔵のようだ」と伝えてくれと言う。 その言葉がヒントになり、コナンは謎を解く。沖矢は、コナンが電話をしながらトイレから飛び出てくるのをこっそり見て、 コナンが工藤新一だと気付く。

89, 9017 年前と同じ現場11 握られたハサミ、1 甘い匂い、2 切り取られた文字
  • 樋山邦寿:不動産会社社長、被害者
  • 仙波和徳:元駄菓子屋主人、遺体の第一発見者

17 年前の棋士羽田浩司と資産家アマンダ・ヒューズの殺害については謎が多い。羽田の部屋には皿やカップの 破片が散乱しており、羽田は右手にハサミを握りしめていた。洗面所の蛇口は開きっ放しだった。

奥穂町で殺人があり、被害者は阿笠博士が発明したハサミを握っていたという。そこで、阿笠、沖矢、コナンは 現場を見に行く。被害者の樋山は鈍器で撲殺されていた。付近にはコップの破片が散乱しており、被害者はハサミを握っていた。 脱衣所の蛇口は開きっ放しだった。樋山は悪どい商売をしていたので、敵も多かった。そこで、ボディーガードも雇って厳重に警備していた。

遺体の傷口には蜂蜜のようなものが付着していた。母屋の縁の下にアリの行列ができており、その先には凶器があった。 凶器は、ガチャガチャのカプセルに鉄球を入れて蜂蜜を流し込んだものだった。犯人は、まずそれを屋根の上に投げる。 カプセルははちみつのおかげでゆっくり雨樋を落ちて行きトイレの前まで来る。それをトイレの下側にある小窓から 回収し、靴下の中に入れて凶器にした。このようにして、犯人は、ボディーガードに見つからないように凶器を持ち込むことができた。 犯人は、遺体の第一発見者の仙波だった。動機は、自分の入院中に土地を買収され、駄菓子屋を壊されたことだった。

被害者がハサミを握っていたのは、水中でコップを切って犯人の名前を残すためだった。水道の蛇口を開けておいたのは そのヒントだった。17 年前の羽田の遺体の近くにあった割れた鏡の文字を同様にして読み解くと、ASACA と RUM の文字が浮かび上がった。

沖矢は、殺人現場の様子が羽田浩司殺害のときと似ていることが気になって、阿笠博士について現場に赴く。 相変わらず、沖矢とコナンはほぼシンクロして推理を進め、推理の披露も二人で交互に行う。