名探偵コナン索引

last update: 2023/10/11

名探偵コナンが増えてきたので、索引を作ることにした。

名探偵コナンシリーズは言わずと知れた人気シリーズだ。推理ものなのに、後味の悪さが無くて、 面白さのみが残るというのが、最もすごい点だと思う。子供でも楽しく読める推理ものというのはなかなかない。 それにはいろいろな要因がある。小学生を主人公にして、大人の方が失敗するという構図にして、子供をわくわくさせる （この構図は大人でも楽しめる）。非現実的な設定を入れつつ（高校生が小学生になるとか、強すぎる女性とか）、 推理のところはできるだけ現実的にとどめ、ヒーローもののありえなさと推理ものの現実感とを上手にミックスする。 適度なラブコメ要素。などなど。

単なる推理物語ではないところが重要である。適当にサイドストーリーを絡めているのが上手い。 ラブコメを始めとして、小学生のかわいい失敗物語とか、黒の組織との対決、怪盗キッドとの対決など、 複数の物語が重層的に展開される。コナンの事件への巻き込まれ方も毎回手を変え品を変え、 多少不自然でも漫画のユーモアで納得させるなど、ともかく読んでいて自然に事件につながるように 描かれているのがすごいところである。

主人公とその周辺の人々が窮地に陥ることもあるけど、超人的能力を持った人物が たくさんいるので、ともかく最後は助かる。その楽天的なカッコよさも人気の秘訣だろう。

ストーリーは典型的には以下のパターンを取る。

A が殺される事件が起こる。容疑者は B, C, D だ。 コナンが調べて、犯人は B だと推理する。それを眠りの小五郎推理ショーや阿笠博士口パクで言わせる。 B が犯人だという証拠を前に B が自白し、動機は A がかつて起こした事件への復讐だということになる。

名探偵コナンの場合、B は最後には逮捕されるのであって、死ぬことはほとんどない。これが後味が悪くない一つの要因である。 では、A が死んで B が死なないのは不公平ではないかという問題に関しては、そうはなっていない。 まず A は悪人であり、たいてい第１話で殺されるのであまり人となりも描かれていない。 それに対して、B は最後まで話に出てくるので人となりが描かれる。さらに B は正義の復讐をしているのだからそれほど悪人ではない。 だから A が死ぬのはそれほど後味が悪くないが、B が死ぬと後味が悪くなる。 B が死なないのは、ひとつは近代司法の原則の遵守ということもあるが、もうひとつは B を完全な悪人としては 描いていないためということもある。

ステレオタイプの強さもある。 登場人物は、ステレオタイプ的にそれぞれの性格を代表していて、そういった人々がやりそうな失敗をしたり、 行動をとったりして、笑いを誘うようになっていたりする。それで、推理小説にありがちな暗さを払拭しているところが上手い。 少年探偵団の元太、光彦、歩美は、それぞれドラえもんのジャイアン、スネ夫、しずちゃんを連想させるところがある。 小学生を主人公にするような物語では、このような組み合わせが話を面白く展開しやすいというような法則があるのだろう。

加えて、推理小説独特の犯人の暗い心理はあるけれど、最後には捕まることでその心理は否定される。 それがまあ子供にも人気が出る理由なのだろう。

犯罪とは関係のないほのぼの物語を入れているのも良い。典型的なのは No.119『イチョウ色の初恋』で、 ミステリーとしては暗号に不自然な点もあって変なのだが、イチョウの葉が舞い落ちる中の淡い恋心を 上手に描いてほのぼのする。

作っていて気付いたこともいくつか:

• 漫画連載３回で１エピソードが標準となっている。それは、起承結の順の展開が普通だから。第１回で事件が起き、 第２回で捜査と推理を行い、第３回で結論を出すというのが通常の展開である。 複数の事件が起こる場合はもっと長くなる。
• テレビでは最初のうちは１エピソード１回を標準にしていたのが、 第50エピソードくらいから後は、１エピソード２回が標準になってくる。 漫画連載の１回半分をテレビ番組１回分に充てることになる。

参考データ集：

• 名探偵コナン サンデー公式データベース 全事件レポート編纂室
• 読売テレビ 名探偵コナン
• コナンアニオリまとめ

テレビアニメオリジナル

劇場版